空は春、地上は冬。 でも公園の花壇には、ぼちぼち水仙の花が咲いている。 川沿いの桜の木も、ぷくっと蕾を膨らませて春の訪れを待っている。 ひのはらセットが届いた。 東京都檜原村。 そこに移り住んだ知り合いが送ってくれる、通称ひのはらセット。 いつものパンと舞茸に加えて、今回はひのはら紅茶となつはぜのジャムも入れてくれた。 なつはぜ。 そんな名前の植物、知らなかった。 調べたところ、日本に古来からある和製ベリーだという。 山の黒真珠とも言われているのだとか。 なつはぜのジャムは、シュニッツェルに添えて食べてみた。 シュニッツェルは、ドイツ版トンカツみたいな肉料理。 そろそろ、シュニッツェルが恋しくなってきた。 豚肉(もしくは、仔牛肉)を薄く薄く叩いて、それに衣をつけて油で揚げ焼きにする。 表面積が大きいので、初めて見るとたじろぐけれど、その分薄いので(昔は日本で紙カツと呼ばれていた)、結構ぺろりと食べられる。 で、ドイツでシュニッツェルを頼むと、かなりの確率でレモンと甘いジャムが添えられて出されるのだ。 お肉に甘いジャム?!? と眉を顰めそうになるけど、結構これがそれほど違和感がなかったりする。 舞茸は、半分はきりたんぽ鍋に入れ、半分はペーストにした。 ペースト、他の種類のキノコを入れてもいいのだけど、わたしはいつも、舞茸だけで作ってしまう。 基本的には、ニンニクと鷹の爪と舞茸をオリーブオイルでソテーして、それをブレンダーで撹拌するだけなのだけど、これがまた味わい深くて美味しい。 たくさん量があって食べられない時なんか、こうしておけば長持ちする。 パスタソースにしたり、野菜炒めの隠し味にしたり、いろんな使い方ができるけれど、一番のお気に入りは、パンにつける食べ方だ。 しかも、一緒に送られてくる檜原村のパンとの相性が、すこぶるいい。 行列ができるような人気のパン屋さんのパンとか、これまで美味しいと言われているパンをたくさんいただいてきたけれど、ある程度の大きさのパンは、必ず途中で残ってしまい、慌てて冷凍庫にしまうのが常だった。 でもこの、ひのはらパンに限っては、すぐに消費してしまう。 なんていうか、気負っていない感じがいいのだ。 これを軽くオーブンで温めて、舞茸ペーストをつけて食べれば、これだけでご馳走になる。 そして、今回びっくりしたのは、ひのはら紅茶。 東京から移り住んだひとりの女性が、耕作放棄されていた茶畑を甦らせ、長い年月をかけて地元産の紅茶を作り上げたらしい。 変な癖が少しもなくて、おかしな言い方だけど、清らかな水を飲んでいるような澄み切った味だった。 村っていう、響きが好きだ。 だから、檜原村もずっと気になっていた。でも、行ったことがなかった。 調べたら、気持ちよさそうな滝がいくつもある。 温泉もあるし。 車の免許が取れたら、まずは檜原村に行ってみようかしら。