粕汁天国

お豆腐を買ってきたら、まずは冷凍庫に入れる。
それが最近の日課になった。
そう、冷蔵庫ではなく、冷凍庫で保管するのだ。
そうすると、日持ちもするし、何より、生のお豆腐とは違う独特の食感が楽しめる。

高野豆腐(凍り豆腐)というのがあって、子どもの頃はどうもあれが苦手だった。
パサパサして、スポンジを口に含んでいるような気持ちになった。
でも、今私がお豆腐を冷凍庫に入れてやっているのは、それと同じようなこと。
パックのまま冷凍庫に入れて、使うときに自然解凍する。
そうすると、豆乳と水に分離して、結果として、ふかふかのスポンジ状になる。

高野豆腐は、それを乾燥させたもの。
乾燥させずに、解凍したものを、手のひらに挟んでぎゅーっと水気を優しく追い出して、それを料理に使うと、なんとも乙な味になる。
高野豆腐ほど、パサパサしないのがいい。

生のお豆腐みたいに煮崩れしないし、扱いも簡単。
せっかくにがりで豆乳を固めてくれているお豆腐屋さんには申し訳ないような気もするけど、でも、湯葉のような濃い味わいで、クセになってしまった。
冷凍してしまえば、豆腐を長持ちさせることができるし。
急にお豆腐が使いたくなった時も、冷凍庫にストックがあればいちいちお豆腐屋さんまで慌てて買いに行かなくても済む。

鍋にもいいし、お味噌汁に入れても、炒めても、煮ても、どんなふうにでも使えるのだが、最近のお気に入りは粕汁だ。
私の周りには、なぜか京都出身の友人が多いのだが、皆さん、粕汁と聞くと、おしなべて身悶えする。
今までは、粕汁ってそんなにおいしいだろうか、というのが正直な感想だった。

ところがどっこい、近頃の私は、毎日のように粕汁を飲んでいる。
間違っていたのは、私の味噌の使い方で、粕汁には白味噌を入れないと味が決まらないのだ。
白味噌で味を整えたら、最高においしい粕汁ができるようになった。
白味噌を少しにすると水臭くなるので、あくまで、たっぷりと。
そうすると、まったりとした風味豊かな粕汁になる。
チンしたお餅を入れてもいい。

粕は、あらかじめ固まりを細かくちぎって出汁で伸ばしておくと使いやすい。
中に入れる具は、鮭とか鶏肉とか野菜や蒟蒻を入れるのが一般的だけれど、私はシンプルに、冷凍庫で一度凍らせた豆腐と、油揚げ、芹の組み合わせが好きだ。
芹も、年々好きになる。

これを飲むと、本当に体がぽかぽかと温まってくるのだ。
出汁は、煮干しと昆布がいい。

この冬は、とにかく寒い。
だから、暖房の代わりにせっせと粕汁を飲んで、体を温めている。