美しい雨
朝起きて、外に出て、あれ? と思う。
なんと、ちょこちょこと芽が出ているのだ。
その場所は、確か蕎麦の種を植えた場所。
まさか、こんなに早く発芽するとは!
やっぱり、蕎麦の産地だから、蕎麦の栽培には適している環境なのかもしれない。
そんなに急に成長はしないだろうに、1日に何度も、窓から芽の様子を見てしまう。
と思っていたら、お昼、庭に鹿の姿が。
熱心に、地面の草を食んでいる。
窓からじっと見ていたら、向こうもこっちに気づいて、数秒間、お互いに見つめあった。
鹿さん、見ている分には可愛いのだけど、庭の植物を片っ端から食べてしまう。
やっぱり、蕎麦も食べられてしまうのか?
どうか、鹿に見つかって食べられないことを祈るばかりだ。
八ヶ岳は。今週も来週も、ずっと雨マークが続いている。
山小屋に、雨どいはない。
だから、雨が降ると、軒先からポタポタポタポタ、雨が滴になって落ちてくる。
それが、すごく美しい。
雨の降り方も、ベルリンに似ている。
標高が高い分、そりゃあ八ヶ岳の方が自然環境は厳しいけれど、乾燥していて、1日に1回は晴れ間がのぞいたりする点も、ベルリンと共通する。
何より、森の感じが、まるでヨーロッパだ。
食に関しても、新鮮な肉や魚はあまり手に入らなくて、(もちろん、スーパーに行けばあるのだけど)基本は野菜中心。
内陸だから、魚よりは肉、しかも、この辺りは、加工肉の文化が発達していて、それも私を和ませてくれる。
ハムとかソーセージとかベーコンとかが、すごくおいしい。
今日は、珍しく1日中雨だった。
でも、森の中は案外木々の葉っぱが傘になってくれるので、歩いていても、それほど濡れない。
昨日道の駅で、梅を手に入れた。
今年はバタバタしていて、梅仕事ができなかった。
でも、八ヶ岳で梅をゲットできたので、早速、梅干しを作った。
納豆と卵もようやく手に入れたので、今朝はご飯を炊いて、お味噌汁も作った。
やっぱり自分の味噌で作るお味噌汁は格別だ。
山小屋に移って一週間が経ち、だいぶ体が慣れてきた。
今週から、仕事も始めている。
最初から飛ばすと途中でバテそうなので、今はゆっくりゆっくり、時間をかけて少しずつこの環境に心と体を慣らしている。
ずっと森にこもっていると仙人みたいになってしまいそうなので、1日に1回は、里まで下りるように心がけている。
今日は、というか今日も、温泉に行った。
まだ、山小屋のお風呂には1回しか入っていない。
大体、生活パターンは東京での暮らしと変わらない。
今日は、昨日とは別の道の駅で、生の杏を買うことができた。
貴重な貴重な、生の杏。
コンポートにでもしてみよう。
今日は他に、ピーナツバターを作った。
なんでも簡単に手に入る環境ではないから、できる限り自分で作る。
落花生は、先日、野菜の直売所で見つけた。
まだブレンダーがないので、すり鉢と擦りこぎを使って、地道にコツコツ落花生を潰す。
ねっとりしてきたら、最後、少しだけハチミツと塩を入れて、完成だ。
つまみ食いしたら、素晴らしくおいしかった。
今度、おいしいパンを買ってきて、焼きたてのトーストにつけて食べよう。
雨は、まだ降っている。