お姫様りんご
りんごの季節がやって来た。
8月の終わり頃からぼちぼちりんごを見かけるようになったけど、2回買って2回ともどうも味がぼやけていたので、まだ早いのかと思い、しばらく我慢していた。
やっぱり、りんごは長野がおいしい。
桃や葡萄は山梨の方がおいしいけど、りんごは断然信州産に限る。
一昨日、須坂でのイベントの帰り、満を持してりんごをゲットした。
小ぶりな、シナノスィートだ。
山小屋に戻り、ドキドキしながら皮を剥いて齧ったら、なんとまぁ瑞々しいこと。
りんごは、こうでなくちゃ!
やっと、おいしいりんごに巡り会えた。
待望の姫りんごも、ようやく手に入れた。
去年、姫りんごで作ったネックレスがとてもかわいかったので。
今年は、オーナメントを作りたいと思っていた。
静かな日曜日の朝、テーブルに姫りんごを並べ、作業する。
まずは、軸のところにクローブを刺す。
クローブは釘みたいな形をしている。
こうすることで長持ちするし、紐をつける際のとっかかりにもなる。
次に、適当な長さに糸を切って、それの端っこ同士を結んで輪っかにする。
それを、くるりとクローブの頭の部分に引っかけるようにして巻きつけるだけ。
これからクリスマスに向けて、家の中に飾ったり、外の木にかけたり。
わざわざ高いお金を出してオーナメントを買わなくたって、こんなふうに、身近にある素材ですてきなものが作れるのだ。
さっそく、ノラコヤに持って行って庭の木に飾ってみた。
ノラコヤにも何本か、りんごの木を植えてある。
でも、果樹はなかなか難しくて、りんごも花は咲かなかった。
なので、いつかこんなふうに真っ赤な実がつきますように、という願いを込めて、向かい合わせに2本植えてある姫りんごの木にオーナメントを飾ってあげようと思ったのだ。
で、木に近づいてびっくり。
なんとなんと、ものすごーく小さな極小姫りんごちゃんがなっているではないか。
線香花火の最後の方の小さい火の玉くらいの大きさしかないけど、これは紛れもなく姫りんごだ。
こんなに小さなりんご、初めて見た。
名づけて、お姫様りんご。
私が気づいていなかっただけで、ちゃんと花を咲かせていたのだね。
2本の木、どちらにもお姫様りんごができている。
飾り用に持って行った姫りんごと較べると、大きさがまるで違う。
ラトビアでは、りんごは親を亡くした孤児を守ってくれる木とされている。
リンデン(西洋ボダイジュ)は女性を、カシワは男性を守る木で、だいたいこの3種類の木は、どの家の庭にも植えられているそうだ。
ノラコヤの庭にも、この3本は植えてある。
秋植えの苗と落葉樹の植え付けも、ほぼ終了した。
あとは、球根を植えれば、ぼちぼち庭仕事もおしまいとなる。
昨日ノラコヤで土いじりをしていたら、何やら見覚えのある植物が、芽を出していた。
見覚えというより、その香りでピンと来たといった方が正確かもしれない。
それは、トマトの香りだった。
夏、たくさん実ったトマトのうちのいくつかが地面に落ちて、種からまた芽を出したのだろう。
あんなにトマトが大フィーバーしたのは、もしかすると納豆菌のせいかもしれない、と最近気づいた。
冬、ノラコヤで生活していた時、生ゴミを土に混ぜ、そこに納豆を水に溶いて菌を活性化させたものを混ぜておいたのだが、そこの土が良かったので、その場所にトマトの苗を植えたのだ。
納豆菌は、植物たちにとてもいい影響をもたらすらしい。
なのでこの冬は、納豆を使って土作りをしてみようと思っている。
と言っても、難しいことは何もなく、ただ私が食べた後の納豆パックを水で洗い、それを容器に集めて菌たちのエサとなる砂糖を加えてしばらく置き、それを土に混ぜるだけなのだが。
昨夜は、風がすごかった。
いよいよ、冬が迫っている。
外が寒くなると、毎年コオロギが山小屋に暖を求めて入ってくるのだが、昨日は布団の中にまで入り込んでいた。
朝起きて布団をめくったら、コオロギが2匹、飛び出してくる。
うーん、どうしたものか。
コオロギは、見かけるたびに手でつかまえて、そのまま外に放す。
ごめんね、と思いながら。
風で、だいぶ葉っぱが落ちてしまった。


