『椿ノ恋文』

今日から、神奈川新聞で『椿ノ恋文』の新聞連載が始まった。
初めての、新聞連載。
『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』に続く、ポッポちゃんシリーズの第3弾だ。

取材のため、去年は月一回くらいのペースで鎌倉に滞在した。
そして、実はこの文章も鎌倉で書いている。
段葛の桜がきれいだ。
ポッポちゃんのおかげで、私にとっても、鎌倉が心のふるさとになりつつある。

鎌倉に身を置いていると、どうしてこんなにときめくんだろう。
本当に、ただ町を歩いているだけで、ワクワクする。
近くに海も山もあって、自然のエネルギーを常に感じられるのがいい。

鎌倉に暮らしている人も、皆さんすごく魅力的だ。
目が生き生きと輝いていて、自らの意志で鎌倉を選び、この地での暮らしを愛し、楽しんでいるのが伝わってくる。
個人経営の小さい店が星のように散らばっていて、無理せず、自分の生活を大切にしながら商いを続けている。
とても理想的なコミュニティーだ。

今回の物語では、山だけでなく、海もまた、いろんな場面に登場する。

昨日は江ノ電に乗って、藤沢に暮らす友人に、お昼、つるやさんの鰻重を届けた。
鎌倉高校前に近づくと、やおら乗客がスマートフォンを取り出して、海を写真に収め始める。
スーツを着ているサラリーマンも、息子を抱っこしたお母さんも、若いカップルも、海を前にして優しい表情を浮かべている。
そんな、ちょっとしたワンシーンに遭遇するだけで、心が緩む。

こういう時間を過ごせるだけで幸せだし、ありがたいことなんだと身に沁みて思う。

私の文章としゅんしゅんさんの絵で、素敵な朝をお届けできたら、そんなに嬉しいことはない。
新聞連載、どうぞ楽しんでくださいね!