人生

年の瀬に、嬉しいお知らせが舞い込んだ。
Yさんが入籍されるという。
私がこうして物書きとしてやっていけているのも、すべてはYさんのおかげだ。
本当に、命の恩人といっても過言ではないくらい、私にとっては大切な人だ。

友達とは仕事をしないと決めているので、自分の本の担当編集者は友人ではない。
けれど、私の場合は特に、担当編集者なしに物語は生まれないから、もう本当に本当にかけがえのない存在だ。
Yさんが編集者としてとても有能で、人生がとても充実していることは否定しようがないけれど、そこに更に人生の伴侶が加われば、申し分ない。

お互いに50歳を過ぎてからの結婚と伺い、最高の選択だなぁと唸りたくなった。
半世紀も生きていれば、それぞれに経験もあるし、お互いに冷静に大人の判断ができる。
かっこいいから、かわいいから、お金を持っているから、おしゃれだから、料理ができるから、なんていう見せかけだけの価値観に惑わされず、もっと人間としての本質的な部分を見極めて、相手を選ぶことができるのではないだろうか?
20代の若いうちに結婚するよりも、50、60を過ぎてからの結婚の方が、私の個人的な感想としては望ましいのではないかと思っている。
若いうちに結婚を考えるなら、せめて最低1年は同棲をして、お試し期間を設けるといいんじゃないかな。
身近にいる若い子には、そのように提案するつもりだ。
結婚には勢いが大事、なんてよく言われるけれど、いやいや、勢いなんかなくていいから、冷静な判断が必要だと思う。

それにしても、「人生」は本当に「まさか」の連続だ。
一年前、全く予想もしていなかった事態が、飄々と現実になったりする。
Yさんの場合も、そうだったらしい。
詳しい経緯は書かないけど、とにかく、大きな決断をし、しっかりと自分の人生と向き合ったからこそ、こういう展開になった。
その決断をしていなかったら、新しいパートナーとの出会いもなかったのだ。

なんだかしみじみと、人生って素晴らしいなぁ、と思った。
人生はとても美しいものだし、精一杯生きるに値するものであると確信した。
どうか、ますますお幸せになってほしい。

山小屋で過ごした今年のクリスマスは、見事なまでの青空だった。
まだ、全然雪が降っていない。
このまま春になってしまうのか、と思えるほどの晴天続きで、気持ちいいったら気持ちいいったら。
空気がパリッと引きしまり、お日様が燦々と輝く冬の空が、私は一番好きかもしれない。

移植したもみの木は、一部、シーに味見をされた形跡があるものの、まぁ無事だった。
このまま落ち着いて、来春新芽が出てくれば、根っこがついたことになる。
さて、春になったらどれだけの植物が庭に顔を出してくれるのだろう。

里では桜の枝先に蕾が膨らみ、山ではコブシの蕾が少しずつ大きくなっている。
自然界は、着々と春に向けて進んでいる。
私も、新しい物語を完成すべく、気合を入れよう。

どうぞ、すてきな笑顔で、よいお年をお迎えくださいませ!