Tのの天ぷら

朝、夜明けと共に勝手に目が覚める。もしくは、オハナに起こされる。
すぐに着替えて、5時前後にはオハナとお散歩へ。
その時間だと車も人もいないので、超がつくほどの人見知りのオハナには都合が良い。
とはいえ、少しずついろんな環境や人や犬に、慣れていかないといけないけど。

その後、わんこたちに朝ごはんをあげ、私はいざノラコヤへ。
植物たちが、首を長くして待っているのだ。
昨日は、今シーズン初の、大・草むしり大会。
やってもやっても切りがなく、終わろうと思ってもつい目の前の雑草に夢中になり、12時過ぎまでノンストップで黙々と働いた。
何度も、腰が曲がりそうになる。

お風呂に寄って汗を流し、急ぎ足で山小屋へ。
これからの時期は、植物と動物のお世話に忙しい。

昨日は、ちょっとした記念日だった。
オハナが一歳半になったのは後付けで、メインは天ぷら。
年に一回、この季節だけ、天ぷらをやるのである。
昨日は、その天ぷら記念日だった。

自分ひとりの食事のために天ぷらを揚げるのは、なかなかのこと。
でも、ご近所さんから貴重な初物のアレを、いただいてしまったのである。
そう、Tはタラの芽のT。
でも、タラの芽と書いてしまうと、ごはんを前にしたわんこたちのように、ジャンプしたり(ゆりね)、ピーピー鳥のように鳴いたり(オハナ)、自分も興奮してしまいそうなので、Tと呼ぶことにしている。

山形出身の私にとって、春のご馳走と言ったら、山菜なのだ。
そして、私が暮らす長野県は、山形に並ぶ山菜天国で、ありがたいことこの上ない。
それから較べると、山梨県で買う山菜は、どうもなぁ、というのが正直なところ。
山梨県、ごめんなさい、と思うが、山菜とりんごに関しては、私は必ず、長野県側で買うようにしている。
だって、味が全然違うのだもの。

さて、今年初のTの天ぷら。
大きかったので、下の方と葉っぱの方に分け、まずは下の方を天ぷらにして春の味覚を堪能する。
もちろん、お供は日本酒である。
大抵の天ぷらは、塩がいい。
あぁ、なんという春の醍醐味。
ぎゅーっと、味が詰まっている。
Tは、このくらい太くて味が詰まっていると、食べ応えがあるのだ。
自然の恵み、そのまんまの野手あふれる味だった。

葉っぱの方は、桜エビと合わせてかき揚げにして、温かいお蕎麦と一緒に食べる。
お蕎麦も、近隣にはいろんなお蕎麦屋さんがあって、中にはびっくりするくらいお高いお店もあるけど、私は普通に産直やスーパーで売っている地元のお蕎麦屋さんが作る生そばが一番おいしいと思っている。
なんという贅沢だろう。
思う存分、春を味わった。

Tもおいしいけど、Kもおいしい。
Kは、山菜の女王様とも言われる、コシアブラ。
Kが手に入ったら、もう一回くらい天ぷらをして、最後、ちくわの磯辺揚げでもやったら、今年はもう天ぷらじまい。
天ぷら用の鍋は、棚の奥にしまってしまう。
そしてまた、来春のTを待つ。

山小屋の周りでは、今、ようやく水仙の花が咲き始めた。
芽吹きはまだこれからで、おそらく、連休中に新緑が顔を出すはず。
その瞬間を見逃さないように、しっかりと目を見開いておかなくちゃ!