お宝探し
お盆を過ぎると、少しずつ秋の気配が強くなる。
気温はまだまだ高いけれど、森の木々の葉っぱは、もう黄色くなって落ちているものも。
夏は、本当にあっという間。
ノラコヤの畑へ草取りに行ったら、期待のスイカが息絶えていた。
あー、残念。
見つけた時は、小躍りしたのに。
そのままスクスク大きくなってくれるのを願っていたが、途中で生きるのをやめてしまった。
その代わり、カボチャができている。
カボチャって、ホースみたいなすごく長くて立派な茎を伸ばして成長する。
今日は、カボチャ第一号を収穫した。
雑草をかき分けて、かき分けて、かき分けると、思わぬところにお宝が現れる。
それが、ものすごく楽しい。
ナスも2本、満を持して収穫した。
雨が続いたせいで、トマトの味がいまひとつだ。
お日様をしっかり浴びられなかったせいで、味がぼんやりしている。
割れてしまったのも結構あって、野菜作りは本当に難しい。
次のタイミングでとろうと思っていると、その時にはもう違う姿形になっている、なんてことが結構ある。
せっかく植えても、その恵みを受け取らなかったら意味がないのだ。
自分に必要な量がわかったら、それ以上は植えないようにするのがベストだと思う。
トマトは、明らかに植えすぎた。
来年はもっと数を減らそう。
ノラコヤができたらやろうと思っていたのに、できなかったことがいくつかある。
その筆頭が、ひまわり。
海と空が不在となったヤギ小屋に、ひまわりの種を蒔いて育て、それから種をとって山小屋にやってくる鳥たちの冬のおやつにしようと目論んでいたのだ。
そして、タネをとった後の残りを、海と空にあげればうまく循環するだろう、と考えていた。
ひまわりの種も買って、準備万端にしていたのに。
できなかった。
海と空をT家へと送り出し、一息ついていたら、ヤギ小屋の中も周辺もあっという間に草ボーボーで手がつけられず、種を蒔くタイミングを逃してしまった。
やりたいことはたくさんあるのに、手が回らない。
来年こそは、と今から鼻息を荒くしている。
まだまだ理想の庭と畑には程遠い現実がある。
それでも、自分の暮らしが確実に豊かになったと実感する。
野菜を収穫し、毎日自分で育てたハーブのお茶を飲んで、庭で摘んだ草花を山小屋に飾る。
それだけで、もう大満足。
野良暮らし一年目としては、まぁ上出来ではないだろうか。
夕方山小屋に戻ってから、さっそくナスを使ってダシを作る。
ダシは、山形の郷土料理で、夏の定番おかずだ。
何種類かの夏野菜を細かく細かく刻んで、麺つゆなどで味をつけたもの。
ご飯にかけたり、冷奴の具にしたり、そうめんに混ぜたり、どんなふうにでも使うことができる。
今日は、ナスの他、シソ、ミョウガ、キュウリを入れた。
ちょうどなっとう昆布をいただいたので、それを使えばしっかり粘り気も出て、本格的なダシになる。
うどんを茹でて、たっぷりとダシをのせ、冷たいぶっかけうどんにした。
冷蔵庫にダシがあると、なんだかすごく心強い。
子どもの頃、夏は毎日のようにダシご飯を食べていた。
来年こそは、お盆の時に飾る精霊馬を、自分で育てたナスとキュウリで作りたい。