TKG

なんだか昨日から頭がぼんやりする。
朝、ベランダで洗濯物を干していたら、鼻の奥がむず痒くなった。
多分、花粉が飛んでいるのだろう。
今年は、いつもより格段に花粉の量が多いのだとか。
春になるのは嬉しい反面、これがあるので憂鬱でもある。

憂鬱といえば、週末、たまには見てみるか、とテレビの情報番組を見ていたら、本当に憂鬱な気分になった。
日本の良さといえば、治安がいいこと、そして食べ物がおいしいこと。
それなのに、強盗という物騒な言葉が飛び交い、飲食店では客による迷惑行為が横行しているという。
治安が悪くなって、食べ物も安心して食べられなくなったら、日本の良さが半減するんじゃないかと心配になった。

フィリピンに潜伏していたという、強盗犯の主犯格とされる4人の顔。
でも、この人たちも、幼稚園の頃は、きっと無邪気に、僕は大きくなったら○○になりたいです、とか言っていたんだろうなぁ。
よもや、○○の中に強盗の文字は入っていなかったはず。
みんなと一緒にお遊戯とかして、可愛らしい寝顔を浮かべてお昼寝していたんだろうなぁ。
施設に収容されていたにもかかわらず、犯罪を止められなかったのだとしたら、ものすごく腹立たしい。

一方で、日本を脱出して海外に永住する人が増えているという。
その気持ちは、私も数年だけど海外にいたので、とてもよくわかる。
周りにいる日本人の人たちは、外側から日本を冷静に眺め、ものすごく日本を愛していた。
愛しているが故に、日本の現状を憂いてもいた。
若者たちは、職を求めて海外で働いているというし。
少子化、そして人口流出。
この先、日本はどうなってしまうのか。
全て政治のせいにするつもりはないけれど、この国で子どもを産んで育てれば楽しいとか、この国にいれば豊かな老後が送れるとか、そういう明るいビジョンが欠けているような気がしてならないのだ。
なんだかなぁ、と、ついため息が出てしまう。

今朝の新聞の投書欄には、この冬3回も家庭菜園からネギを盗まれた92歳の方の嘆きが掲載されていた。
1年半前にタネを蒔き、天塩にかけて育てたネギが、まだ食べられる部分を乱暴に残したままの状態で盗まれてしまったという。
けれど、その方は最後、こんな世の中では仕方がないと諦めていらっしゃった。
お気の毒で、言葉も出ない。

昨日の新聞に載っていた、福岡の、ある介護施設の施設長さんの言葉が印象的だった。

「足手まといな者のリストの1番目にいる人を犠牲にすれば、2番目の人が繰り上がって次の犠牲となります。それを繰り返すだけの社会は、ほどなく弱体化する。日本社会はその状態にあると思います。それが私たちの望む経済でしょうか」

胸にグサリと刺さる。
せめて、誰もが食べ物に困らず、安心して眠れる社会であってほしい。

そうそう、香港では、日本の卵が人気だとか。
TKGは、卵かけご飯。
日本にいると、卵を生のまま食べられるのは当たり前のように思われるけど、海外の卵だと、なかなか怖くて生食はできない。
ベルリンでも、よっぽどいい生産者からいい卵を買わないと、卵かけご飯はできなかった。
だから、卵かけご飯はご馳走だった。

生で食べられる卵も、日本が海外に誇れるもののひとつ。
そんなことを思い出して、ほんの少し、楽観的になってみる。