日曜日のお味噌
朝起きたら、霜が下りていた。
初霜かもしれない。
季節は迷わず、冬へ一直線だ。
今朝も朝焼けが神々しいほどに美しかった。
そろそろ山小屋の味噌壺のお味噌がなくなるので、満を持して味噌を仕込む。
国内、海外問わず、いくつかの場所で味噌を作ってきたけれど、そこで味噌を仕込むと、その場所が自分の居場所になった気がする。
今日は日曜日で、快晴で、味噌作りにはもってこいの空。
絶対に、雨の日で、しかも悲しかったり苦しかったりする時は、味噌作りをしてはいけない。
祖母からの教えとかではなく、これは私が自らの経験で学んだこと。
そういう負の感情は、波動となって必ずや味噌に伝わると、私自身は信じている。
だから、味噌を仕込むのは、朗らかな、明るい気分の時に。
できれば、音楽も麹がご機嫌で発酵しそうなものを選びたい。
生の麹は、長野県を代表するスーパー、ツルヤさんで入手した。
味噌の本場にいるのだから、わざわざ自分で手作りしなくてもいい気もするけれど、まぁ、味噌作りは趣味なので、つい、やりたくなってしまう。
大豆は、適当に道の駅で買ったもの。
食材は、なるべく身近で手に入るもので賄いたいと思っている。
新聞を読み、90分のヨガをして、いざ味噌作りを始める。
大豆は、一昨日から薪ストーブの上に置いたりして、少しずつ火を通してきた。
茹で上がった大豆をブレンダーで攪拌するのだが、どうもブレンダーの馬力が足りない。
私が20年以上前に買ったブレンダーの方が、よっぽど力強く攪拌する。
今使っているのは新しいのだけど、すぐに止まってしまうので、何度も作業を中断した。
根負けして、今日の味噌は大豆の形が結構粒のまま残っている。
あとは、塩と合わせた生麹を混ぜ、それをせっせとおにぎりみたいに握っていく。
これを小分けして保存袋に詰め、空気を極力抜いて、完成を待つ。
私はあと2週間ちょっとで山をおりる計画だけど、今回の味噌たちは、山小屋でお留守番だ。
気温が低くなるからカビの心配は少ないものの、それでも無事に発酵が進んでおいしい手前味噌に成長してくれるのを祈るのみ。
味噌作りがひと段落したら、ゆりねを連れて温泉へ。
あー、気持ちいい。
極楽だ。
気温が下がったので、ゆりねも車の後部座席で待っていられるようになった。
温泉からの帰り、また鹿の集団に遭遇した。
10頭くらいがまとまって、せっせと草を食んでいる。
オスの鹿は毛が黒っぽくなり、立派な角を生やしている。
体格も一回りほど大きくなったようで、最初見た時はカモシカかと思った。
あんなのに向かってこられたら、太刀打ちできない。
オス鹿の角は、毎年生え変わるらしい。
まるで、落葉樹のよう。
形も、木の枝そっくりだ。
森にいる間にやらなくてはいけないことと、やりたいことが山ほどある。
冬の足音に急かされている。