平和

三々五々、梅の花が咲いている。
この冬は寒さが長引いたので、咲き始めるのが遅かった。
ようやく、最近になって花びらが開くようになった。

やっと春うららだと喜んでいたのも束の間、世界情勢が緊迫している。
この一週間で、あれよあれよという間に、大変なことが起こっている。
ロシア情勢に詳しい専門家すら、まさか、と思っているに違いない。
ウクライナの人たちだって、まさか、だろう。
まさか、自分が現在進行形で戦争を目撃することになろうとは、夢にも思わなかった。

志願兵を募集とか、民衆が火炎爆弾を作るとか、そんな状況が現実に起きていることに恐ろしさを感じる。
愚かな人物に権力を預けることの恐ろしさと無責任さを、日本人も他人事と思わず、肝に銘じて受け止めなければいけないと思った。

3年前の夏、ぴーちゃんと訪ねたビャウォヴィエジャの森は、ポーランドとウクライナの国境に広がるヨーロッパ最古の原生林だった。
ベルリンから列車とバスを使い陸路で行ったけれど、ウクライナからポーランド、ポーランドからドイツは本当に近い距離にある。

また、ウクライナからの多くの難民が助けを求めて、他の国々に避難するだろう。
それじゃなくてもコロナ禍でもう十分疲弊しているのに、その上更に戦争となると、この先、人類の行く末がどうなってしまうのか。
本当に混沌として、明日どうなるのかわからない。

ラトビアをはじめとするバルト三国の人たちも、戦々恐々としているだろうな。
歌の革命で、ようやくソ連から再独立して自由を手に入れて、まだ30年ほどしか経っていない。
彼らは長くソ連の占領下で、本当に苦しく辛い時代を送ってきた。
だから、今ウクライナに起きていることだって、決して対岸の火事ではない。
こんなふうに、いとも簡単にひとりの愚かな為政者によって世界の、地球の運命が握られてしまうことに吐き気すら感じてしまう。

ウクライナに残された人たちも、ウクライナに家族を残して他国に避難した人たちも、本当に不安だろう。
あまりに凄まじいことが起きていて、一体自分に何ができるのか途方に暮れてしまうけれど、とにかく、このまま暴挙を許すわけにはいかない。
ベルリンで行われた戦争反対のデモには、10万人が集まったそうだ。
もしまだベルリンに住んでいたら、私もその参加者の一人になっていたと思う。

これ以上最悪なことが起こりませんように。
祈ることしかできない自分が、とても歯痒い。