花の力

今、森の至る所でシャクナゲの花が咲いている。
毎年、こんなに咲いてたかな?
山小屋の敷地にある4本のシャクナゲ、全部が花を咲かせているのだ。
こんなこと、今まではなかったはず。
シャクナゲは、鹿による食害も免れる常緑の植物で、このエリアには数多く自生する。
森を歩いていると、そこここで大輪の花を咲かせるシャクナゲを見ることができ、その度に、美しいなぁと感動する。

これまでは鹿に食べられることはなかったのだが(つまりそれだけ毒を持っているのだろう)、最新のご近所さん情報によると、どうも近頃、シャクナゲの花芽を鹿が食べるようになったらしい。
猛毒のトリカブトすら食べているという情報も耳にした。
恐ろしや。
それだけ、鹿の数が増えて食べ物に困っているということだろうか。
確かに、最近頻繁に子鹿を見かけるけど、かなり痩せているような気がする。

鹿と言えば、オハナが鹿を見つけると、すごい勢いで追いかけてしまうようになった。
最初は、鹿がそばにいても何の反応も示さなかったのに。
2、3日前は、リードをつけたまま鹿を追ってどこまでも行ってしまい、15分くらい行方不明になった。
その間は本当に、生きた心地がしなかった。

オハナ! オハナ! といくら大声で呼んでも現れる気配がなく、諦めて一旦山小屋に戻り、車で捜索しようかと来た道を戻る途中で、遠くにオハナを発見した。
自分でも、どこに戻ったらいいのかわからず途方に暮れていたらしい。
間一髪だった。
夕方だったし、あのままオハナが帰らなかったら、と想像するだけで恐ろしくなる。
鹿がいると、スイッチが入ってしまい、私の力では制御しきれなくなってしまうのだ。
鹿を見るとすぐに山小屋に引き返そうとするゆりねとは大違いだ。
この鹿問題、何とかしないと、大変なことになる。

ノラコヤの方は、植物たちが元気いっぱい育ち盛りだ。
雑草もすごい勢いではびこっているが、去年私が植えて冬を越した宿根草たちも、健気に花を咲かせている。
もう、その姿が本当に本当に可愛くて。
そこに、たった一輪でも花が咲いているだけで、世界が変わる。
花は、それだけすごい力を秘めている。

去年の秋に種を蒔いたストロベリーキャンドルは、赤い花を咲かせている。
こんなにわーっと咲くと思っていなかったので、その光景に圧倒される。
夏の暑さに弱いそうなので、あと少ししたら元気をなくしてしまうのかもしれないけど。
花は、私は切り花にして山小屋に飾って楽しんでいるけど、お茶にしたり、サラダに入れたりしてもいいそうだ。

ストロベリーキャンドルの周りを、ブンブンとミツバチが飛んでいる。
今、巣箱の前には、彼らの好きなキンリョウヘンという蘭の花の鉢植えを置いて、盛大に入居待ち状態だ。
今年は、もしかするともしかするかも!
入居者募集中のミツバチアパートの周りを、興味深そうにミツバチが飛んでいるのだ。

今年は生えないのかな、と思っていたら、少し前からまたスギナがすごい勢いで地面を覆っている。
全部をお茶にするのは無理だけど、その中から良さげなところを刈り取って、洗ったのち乾燥させ、スギナ茶を作った。
本当においしいのだ。
ドクダミが出てきたから、ドクダミの化粧水も作りたいし、草むしり以外にもやりたいことは山ほどあって、圧倒的に時間が足りない。

昨日は半日ノラコヤで野良仕事に汗を流したので、今日はゆっくり山小屋で過ごす。
どうやら地元でマラソン大会をしているようなので、お風呂にも出かけず、一日、森にいた。
読みたいままそのままになっていた本を手に、新緑を見つつ読書に勤しむ。

わんこたちの散歩を済ませ、帰ってきてから、もう一度本を持って森へ。
アルコール度数の強い白ワインを、リンゴジュースで割って飲む。
方々から鳥の歌声が響いてくる。
来月の夏至までは、まだ陽が長くなるから、こんなふうに夕方になっても外で本を読んだりできるのが嬉しい。
西日を受ける森のシャクナゲが、ことのほか美しかった。