山へ
ふと思い立ち、高尾山へ行ってきた。
わざわざ日曜日に行くこともなかったのだけど、思い立ったが吉日。
新しく買ったトレッキングシューズを履いて、リュックにおやつを入れて出発した。
最近、朝焼けの空がすごく綺麗だ。
混んでいるだろうなぁ、とは思っていたけど、やっぱり混んでいた。
電車が高尾山に近づくにつれ、山登りの格好をした乗客がどんどん増える。
終点の高尾山口のホームには、老若男女の山人たちが大集合だった。
まずはリフトで中腹まで登り、そこから登山スタート。
カラフルなリフトが楽しくて、テンションが上がる。
山に入ってしまえば、密になることはない。
自分の心地いいペースで、ゆっくり歩けた。
緑が生き生きと輝き、冬の光が最高に美しかった。
立ち止まっては、何度も何度も深呼吸。
ベンチで休んでおやつを食べながら、時間を気にせず頂上を目指す。
去年は、出羽三山と上高地に行った。
山は、雑念を忘れさせてくれる。
ただただ次の一歩のことだけを考えながら歩くのは、瞑想に似ているかもしれない。
瞑想も自分の呼吸だけに集中することで、余計なことに意識を向けないようにする。
今回は、高尾山の頂上がゴールではなく、言ってみれば、そこからが出発みたいなもの。
裏高尾と呼ばれるルートを通って、小仏城山へと足を伸ばす。
そのまま縦走していくつか山を越えれば、陣場山へも行くことができる。
次はぜひ、陣場山までのコースに挑戦しよう。
機嫌よくてくてく歩いていたら、後ろから、ずっと独り言を話す声の高い女性がついてくる。
ん? と思って振り返ったら、彼女の横に、白地に薄茶色のまだら模様が印象的な、もふもふの犬が並んで歩いていた。
聞けば1歳のラブラプードルだそうで、足を泥だらけにしながらるんるんと楽しそうに山を登っている。
その姿に、元気をもらう。
歩いていると、いろんな場所から富士山が見えて、その度に感動しては大きなため息が出た。
今、富士山は、これでもかってくらい粉砂糖をまぶしたお菓子みたいに真っ白だ。
小仏城山の山頂にある城山茶屋で、なめこ汁をいただきながら、富士山を堪能する。
まさに、シンプルイズベストの山。
体が冷えている時のなめこ汁は、格別だった。
富士山に別れを告げ、小仏峠からバス停へと下山する。
なんとなく気持ちのモヤモヤを晴らしたくて山に行こうと思ったのだけど、その点に関してはあまり効果がなかったかもしれない。
やっぱり、もっと高く険しい山でないと、我を忘れることはできないのかなぁ。
それでも、澄み切った空気を呼吸し、植物たちからたくさんのエネルギーをもらって、体のどこかが一新された感覚は確かにある。
また近いうち、高尾山に会いに行こう。
今夜のおかずは、これ。
北海道の真狩村で作られた、ゆりね100%の手作りコロッケ。