しゃーない

昨日の朝、目が覚めて窓から外を見た瞬間、言葉を失った。
それほどのすごい雨だとは、気がつかなかった。
外に出ると、敷地に完全に川が流れている。
去年から雨が降るとミズミチができることは気にしていたのだけど、まさかそれほどの雨が降ったとは。
どうやら相当の雨量だったらしい。
前日までの景色が、完全に失われてしまっていた。

以前から気にしていたし、想定していた事態とは言え、気持ちは沈んだ。
それでも、この春に植えたハーブたちがほぼ無傷だったことは、不幸中の幸いかもしれない。
よくあの雨の中を耐えてくれた。
風がない分、まだマシだったのだろう。
台風だったら、きっと木っ端微塵になっていたに違いない。

さすがに昨日は放心状態で、どこから手をつけていいかわからなかったし、植物たちにも触れることができなかった。

それでも、太陽が出れば、植物たちは昨日のことなんかさっぱり忘れて、わーいわーい、お日様が出たぁ、と嬉しそうに葉っぱを広げる。
なんて素直なんだろう。
その姿に励まされた。

だから私も、今朝から気持ちを切り替えて、また水撒きをやった。
植物たちが、明らかに喜んでいる。
空が晴れていれば、私が水をあげるしかない。
私が水をやらなければ、彼らはすぐに枯れてしまうのだ。

自分で直せるところはコツコツコツコツ自分で修復し、できないことはできる人に頼むしかない。
起きてしまったことをいくら嘆いたって、元には戻らないのだもの。
泣いたり、怒ったり、憤ったり、誰かのせいにしている暇があったら、せっせと体を動かした方が効率的だ。
そうすれば、自ずと次の道もひらける。

人生には、いいことも悪いことも、両方起きる。
そのことを、半世紀近く生きてきた私は、もう体で知っている。
だから、しゃーない。
人生に、しゃーないことはいっぱいあるし、しゃーないことだらけだとも言える。
そんなんでいちいちジタバタしても、エネルギーの無駄使いだ。

そんなことを思いながら、今日もお昼から、淡々とお庭仕事をやった。
土に触れていれば、自然と気が紛れるし、気持ちが穏やかになってくる。
無事でいてくれた植物たちに、本当に感謝だ。
ますます、愛おしく愛おしくてしゃーない。

災害があって、それを元の姿に戻そうと復興する。
今回の連休中も、また能登で地震があった。
元に戻して、また壊れて、また元に戻して。その繰り返し。
不屈の精神だ。

それに比べたら、私なんか、まだまだだ。
たーくさん自然に恩恵を受けているので、こんなの、屁の河童だと思う。
大丈夫、大丈夫。
植物たちこそ、どんなことがあってもお日様の方を向いて、今だけを生きて、彼らこそ、不屈の精神だ。

しゃーない、でも大丈夫。
それが今の私の合言葉になっている。

今日もお庭仕事の後はお風呂に行って、ものすっごく熱いサウナで汗を流し、それから山小屋に戻ってゆりねと森を散歩して、その後は水撒きをしながらオニワイン(お庭でワイン)。
あー、今日もいい一日だった。

それにしても、長い年月を経て形作られた自然の地形に人為的な手を加えることの罪深さについては、今回、改めて思い知らされた。