みかんの国
信州は完全にりんご王国だったけど、一方海辺の町では至る所にみかんの木がある。
ゆりねの散歩で町を歩いていても、ふつうの民家の前で、一袋いくらで売られていて、今、味較べをしているところだ。
中には、少々傷がついたみかんを、「お一人様一つまで」、無料でくれるところもあったり。
それを見つけると、つい嬉しくなり、ひとつ、ポケットに入れて持ち帰ってくる。
居酒屋Yの女将さんも、「柑橘と筍だけは買う必要がない」と言っていた。
みなさん、どっさり持ってきてくれるのだとか。
信州の人がりんごの味に厳しいように、きっとこっちの人は、みかんの味にはうるさいのだろう。
みかんも、いろんな種類があって面白い。
昨日は、みかんの国のご近所さんたちと、新年会だった。
お風呂で出会ったご縁が、思わぬ方へと広がっていく。
ご近所さんができるとまた、里暮らしも豊かになる。
昨日は、ジビエの会。
この辺りの山で罠を仕掛けて猟をする私と同世代の女性がいて、彼女が自分で仕留めた獣を自ら料理してくれるという。
その末席に、私も加えていただいた。
この辺りにいる野生の動物は、鹿、猪、穴熊、猿。
私が実際に目撃した事があるのは猿だけだけど、猪も穴熊も、かなり近くまで来ているらしい。
猟をするその女性は、猿以外の動物はとって食べるそうだ。
鹿のローストは、1歳半の若い牝鹿だそうで、お腹には、3ヶ月ほどの赤ちゃんがいたという。
なるほど、肉質が柔らかく臭みがないが、そのことを知ってしまうと、なんだかものすごく申し訳ない気持ちになった。
穴熊は、人生で初めて食べた。
脂身がほとんどで、その脂が美味しいらしく、昨日は脂で包んだ肉のところを揚げ焼きにして出してくださった。
穴熊の一番美味しい食べ方は、すき焼きだという。
日本で、ジビエはまだまだうまく活用されていないとのこと。
ただ害獣として駆除するのはあまりに気の毒だから、せめてその命を、美味しく料理して、美味しくいただくことが、これからの私たちの課題になるのではないかと感じた。
そういえば、少し前、北海道で騒がれた熊、OSO18に関するドキュメンタリー番組を見た。
本来、ヒグマは木の実などを食べるのだが、OSO18は放牧中の牛を襲い、その肉を食べていたという。
肉食のヒグマで、なかなか捕獲されず、謎の怪物のように恐れられていた。
OSO18が肉食になったのは、鹿の死骸の肉を食べ、その味を覚えたからという説が有力だ。
北海道でも、鹿の生息数が増えている。
死体が放置されることも珍しくなく、それを食べたヒグマが、肉食化してOSO18になったというのだ。
だから、たとえOSO18が駆除されても、この環境が変わらなければ、第二、第三の肉食のヒグマはまた現れるとのこと。
ヒグマだって、なりたくて肉食になるわけではないし、本当に、人間として生きることに、後ろめたさを感じてしまう。
害獣なんて、勝手に人間が自分たちの都合でそう呼んでいるだけで、向こうからすれば、人間こそが害獣に違いない。
イスラエルの国防大臣は、ガザの人々を、「ヒューマンアニマルズ」と表現した。
日本語で訳すると、人間のような獣、人畜。
身の毛のよだつような恐ろしい考え方だ。
今イスラエルがパレスチナに対して行なっていることは、ジェノサイドにしか思えない。
そこに、なんの正義もないし、単なる見せしめで人々を苦しめているだけだ。
こんなことを続けたって、なんの解決にも繋がらず、ますます自分たちの安全を危うくするだけなのに。
ロシアも、ウクライナへの侵攻を今すぐやめるべきだと思うし、大阪万博も今すぐ中止にして、その分のお金や労力を、今まさに苦しんでいる能登の方達への復興に役立ててほしい。
もう、幻想を追いかけて夢を見るのはやめにして、しっかりと現実を見据えて、正しく無駄なく税金を使ってください! と私は声を大にして言いたい。
一納税者として。