蕗味噌
雨が上がり、一転、青空が広がっている。
久しぶりのちゃんとした雨だった。
その間、海と空はじーっと三角ハウスで待機。見ていて、気の毒になる。
雨が降る前に、たっぷりと笹を食べさせておいて正解だった。
そう、ヤギも笹を食べるのだ。
しかも、パンダ並みにモリモリ食べる。
食べ物の嗜好ランキングで言ったら、笹はかなり上位に食い込む。

少し前から、近所の農家さんが、竹藪を開墾している。
それで伐採した竹から、笹をもらったのだ。
海と空が葉っぱを食べ尽くした後、細い竹の部分が残るのだが、それを今度は私が庭で使う。
細い竹は、苗木の支柱としてもってこいなのだ。
よく、プラスチックの細い棒を添えたりするけど、細い竹の方がよくしなるし安定感もあり、まだか弱い植物たちの絶好の支えになってくれる。
これはもう、本当に便利。
ちょっと頼りない若木も、そばに細い竹を差しておくだけで、かなり安定するのだ。
葉っぱを落とした笹は、蜘蛛の巣を払ったりするのにも重宝する。
数日前、庭先でフキノトウを見つけた。
なんてかわいいのだろう。
フキノトウは、まさしく春の使者。
摘みたてを天ぷらにして食べたらさぞおいしかろうとは思うものの、自分ちの庭で芽吹いた子には情が移ってしまっているので、なかなかそんな気持ちにはなれない。
何年か後、わーっと群生するようにでもなれば、平気で摘んだりできるのかもしれないけど。
今は無理だ。
と思っていたら、よく行く産直にパック入りのフキノトウがあったので、迷わず買った。
ノラコヤに戻り、すぐにゆがいて蕗味噌を作る。
蕗味噌の作り方は、母に教わった。
ゆがいたフキノトウを細かく刻み、それを油で炒める。途中で砂糖と日本酒を足して、味噌も加える。
最後に、胡桃と七味唐辛子を入れて味を調える。
ご飯と食べればおかずになるし、そのままでお酒のアテにもなる。
作ってもすぐになくなってしまうから、この時期、フキノトウを見つけたらササっと作って、瓶に入れて冷凍しておく。
そうすると、何か一品欲しいな、という時の心強い助っ人になってくれる。
私はほとんど料理に砂糖は使わないのだが、蕗味噌には、砂糖を入れる。
気持ち甘めにすると、箸が進む。
蕗味噌って、本当に春を呼ぶ味覚だ。
蕗味噌が終わって少しすると、次は山椒味噌の季節になる。
ぼんやりしていると、どんどん季節に置いていかれてしまう。
覚悟しておかないと、ここからは早いのだ。
りんごも、もうそろそろおしまいに近い。
先日、一か八かで買ったりんごは、やっぱり味がだいぶぼやけていた。
だったら、海と空に大盤振る舞いしようとあげたら、なんと、彼らも全部食べずに残している。
あの子たち、おいしいりんごの味が、ちゃんとわかっているのだろうか。
つくづく、りんごは寒くないと味がしまらない。
りんごに代わり、これからは苺がおいしくなる。
フルーツ王国に住んでいるので、旬の果物がリレーのバトンのように渡されていく。
苺が終わったら、少し間が空いてブルーベリーが登場し、更に横綱とも言うべき桃と葡萄が登場する。
そうこうするうちに、また夏の終わりになるとりんごの季節が巡ってくる。
去年ノラコヤに植えた果樹の中では、イチジクだけが実った。
今年は、他の果物も実を結んでくれるといいのだが。
もうすぐ、プルーンとサクランボとブラックベリーの苗がやって来る。
庭の果物でお腹を満たせたら、どんなに幸せだろう。
そんな贅沢な日を、夢見ている。
