緑の季節

海と空をメーメータクシーに乗せ、T家へ送り届ける。
一匹ずつ乗せようとしたら、海はまだ抱っこできたけど、空は重くて無理だった。
おやつでおびき寄せ、なんとか乗せて出発する。
車で30分ほどのドライブ。
海はおとなしくお餅のように丸まっていた。
いつになく、安全運転を心がける。

ウークーのおかげで、本当にいい冬を過ごせた。
始めの頃は熊が心配だったけど、無事にまた2匹をT家へ引き渡すことができ、ホッとする。
不思議なことに、オハナが加わったことで、ウークーへの愛おしさみたいなものが、更に増したのだ。
海も空も、本当にいい子。
もしも、共同親権で両家で面倒を見るというやり方に辿り着いていなかったら、オハナをお迎えすることはできなかった。
T家には、本当に感謝しかない。

オハナがノラコヤにやって来た初日のこと。
長く留守番をさせていた海と空を、とりあえずヤギ小屋の外に出して新鮮な草を食べさせていた。
オハナはオハナで、いきなり関西から新天地に連れてこられて、右も左もわからない。
リードをつけて歩くことすらままならず、その時はもう、暴れ馬状態だった。
私も、そんなオハナに全然慣れていなかった。

それで、うっかりヤギ達とオハナを鉢合わせてしまったのだ。
なんとなく、うちにはゆりねがいるし、T家にも甲斐犬がいて仲良くしているので、海も空も犬は大丈夫と思い込んでいた。
でも、オハナは今までウークーが目にしていた犬より遥かに大きいし、躾も全くできていない。
鉢合わせした瞬間、海と空が完全に固まった。

ヤギ小屋に戻して、彼らの大好きなおやつをあげようとしても食べず、ずっと、しゃっくりのようなのを繰り返していた。
翌日も、ヤギ小屋の外に出ようとしなかった。
普段だったら、勢いよく外に出るのだが。

海と空に対して、本当に申し訳ないことをしたと思う。
2匹をメーメータクシーで送りながら、そのことについて、何度も声に出して謝った。
幸い、しゃっくりのようなものは1日くらいで収まり、またおやつに飛びつくようになったし、柵越しだけどオハナとも近づけるようにもなった。

特に空の方は、色が似ている者同士なのか、オハナに積極的にアピールし、お互い、かなり相手に興味を持っている。
もしかすると、次のシーズンには、空とオハナは遊べるかもしれない。
ただ、犬とヤギではボディランゲージが違うし、空に本気で頭突きをされたらオハナは怪我をしそうだし、今くらいの距離感の方がやっぱりいいのかもしれないけど。

T家に到着するやいなや、海も空もたんぽぽの花を食べるのに夢中になり、私が帰ろうとしても、一切お構いなしだった。
うん、それでいいのだよ。
きっと、ウークーには楽しいグリーンシーズンが待っている。
おいしい草をいっぱい食べて、ノラコヤよりも涼しい場所で夏を過ごせることは、彼らにとってもまた良き選択だったに違いない。
会おうと思えば、いつだって会いに行けるのだし。

ノラコヤに戻り、がらんとしたヤギ小屋を見て、ちょっと切なくなる。
イチゴのヘタも、キャベツの外葉も、菜の花の硬いところも、これからは生ごみとして捨てなくちゃいけない。
いなくなると、いかに海と空がノラコヤでの暮らしに貢献してくれていたかを痛感する。
ウークーのおかげで、極力無駄を出さない巡る暮らしが実践できていた。

私とゆりねとオハナは、山小屋へ。
オハナは、ようやくノラコヤでの勝手がわかってきた頃だったので、また引っ越して一から学ばなくてはいけないから気の毒だけど。
玄関のちょっとした段差とか、薪ストーブの周りとか、オハナが見たことも経験したこともないようなものが、山小屋にもまたてんこ盛りなのだ。
がんばれ、オハナ。
オハナなら、きっとできる。

昨日はとりあえず、ゆりねとオハナ、一緒にお散歩をすることができた。
素晴らしい!!!
これは、自分自身にも盛大な拍手を送りたい。

久しぶりに冷蔵庫のある暮らしに戻ったので、牛乳を買い、ミルクティーを飲む。
家に冷蔵庫があるなんて、なんと贅沢なのだろう。