汗、汗、汗

ベルリンにいる時、今日は暑くなるぞー、という日はお昼前からサウナに行った。
広大なお庭にいくつもサウナがあって、プールもあって、そこでは全裸の男女が思い思いに夏の一日を楽しんでいた。
サウナが、温泉の代わりだった。

数えると、山小屋からぷらっと車で行ける距離に、日帰り温泉が6つある。
そのどの温泉にも、すごくいいサウナがあるのが嬉しい。
もしかして、長野、山梨はサウナ文化が発達しているのだろうか。
私が苦手とする、テレビのついているサウナは一箇所もなくて、どのサウナも簡素で、それがいい。
夕方になると、大体どこかの温泉に行って、サウナを満喫する。

今日も、温泉へ行った。
山小屋にあるお風呂は、まだ数えるほどしか入っていない。
今日行った温泉はいつも行く馴染みのところだけど、そこが、週2回、いつも以上にサウナの温度を上げてくれている。
普段70度なのが、今日は80度だった。

めっちゃ、暑い。
暑くて、皮膚がヒリヒリする。
でも、ここの水風呂が、最高なのだ。
私の好きな白駒の池の方からの伏流水で、ものすごく冷たい。
冷たいけれど、じーっと入っていると、だんだん体が目覚めて、それが快感になってくる。

サウナも水風呂も両極端に暑くて冷たいから、どっちも長居はできない。
短い時間で、そこを行ったり来たりする。
サウナで極限まで我慢して汗を流し、その後水風呂にざぶん。
首の後ろまで水に浸けると、喉がスーッとして、そうするとそこを通る呼吸も冷やされて、体全体に冷気が行き渡る。
それが、ものすごく気持ちよくてやめられなくなってしまうのだ。
今日は、それを5セットやった。
身体中の細胞が、よみがえるよう。
鼻歌を歌いながら、山に戻った。

ところで、今頭を悩ませていることがある。
鹿が木の幹を食べるでしょ。
そうすると、傷ついた木から、樹液が流れる。
それを目当てに、蟻が集まる。
蟻だけでなく、蝶とか虫とか、いろんな生物が集まってくる。
その中には、蜂もいる。
スズメバチもいる。

数日前、なぜかそこだけ虫の温床になっている木を発見した。
ミズナラの木だ。
枝の一部が、鹿に食べられて弱っている。
幹の根元は、虫歯みたいに黒くなっていた。

なるべく、殺虫剤は使いたくない。
かと言って、スズメバチは怖い。
近くで見るスズメバチの顔は、ものすごく怖い。
ペットボトルに、蜂蜜とかカルピスとかを入れて木に吊るして、スズメバチを捕まえるスズメバチトラップもひとつの手かもしれない。
でも、そこに巣があるわけではないから、ある程度の距離があれば、スズメバチに襲われる心配も、それほどないとのこと。

共存できるなら、それに越したことはないけれど、でもやっぱり怖い。
スズメバチの羽音は、他の蜂のレベルとは違って、高速で私の車を追い抜いていくフェラーリとかポルシェのエンジン音に似ている。
つい、ごめんなさい、と言ってしまう。
だから、やっぱり健全な森のバランスを保つには、鹿に来ないようにしてもらうのが、いいのかな?
それが目下、私の悩みである。

温泉から帰ったら、まずはともあれ、森の切り株に腰掛けて、ビール。
スズメバチの羽音を気にしながら。
今日も無事に一日を過ごせたことに感謝して、最後の一滴までビールを飲み干した。

今日は、珍しく、一日のうち一度も雨が降らなかった。
そのおかげで、洗濯物が気持ちよく乾いた。
洗濯物を干すのにちょうどいい木を見つけてご満悦の私。