水と空気と

ノラコヤの壁は、内側も外側も土を塗った。
土の入手先はかなり少なくなっているそうで、長野県内でも唯一と言っていいほど。
もうそこしかない、という感じで、おばあさんから自宅の土を分けていただいた。
その土に水を含ませ、左官屋さんが仕上げてくださった。
なんの着色もしていない、本当に土そのまんまの色だ。

その土壁が、なんとも気持ちいいのである。
空気が、濾されているというか。
とても混じり気のない空気というか。
ノラコヤの中にいると、空気清浄機の中にいるような?
とにかく、土壁の浄化作用に驚いている。
土壁は、湿度の調節もしてくれるし、消臭効果も期待できる。

水と空気のきれいな場所に身を置きたいというのは、山小屋を建てる時から頭にあった。
その点において、山小屋は申し分ない。
ノラコヤの土地を探す時も、それは基本的な条件だった。
本当は、井戸のある土地か、湧き水の近くにある土地を見つけたかったのだ。
でも、なかなかそんな条件をそなえた土地は見つからず。

今回、新たにノラコヤを建てるにあたり、水に関してはウルトラファインバブルという器具を設置した。
水道管にノズルを設置することで、家中の水がきれいになるという。
半信半疑でつけたのだけど、水が本当においしい。
山小屋の天然水とも、神社で汲んでくる湧き水とも引けをとらない。
しかも、これを使うことによって、配管もきれいになるのだとか。
体にもいいし、植物たちにもいいし、洗濯の洗剤も減らせるし、トイレの水もきれいだし、日々、多くの恩恵を受けている。

そして、驚いたのは夜空だ。
私は、当然里の方が星はそれほど見えないんじゃないかと思っていた。
ところが、なんなら山小屋よりも見事な星空なのだ。
空が広くて、夜になると満天に星が散らばる。
それだけ空気がきれいなのだろう。

なんとなく気持ちがモヤモヤしても、富士山を見れば心が晴れる。
最寄りの日帰り湯へは車で5分で行けるし、行動範囲が狭まった分、ガソリンも減らない。
というわけで、私は自分の選択に大満足だ。
こういう二拠点生活も、なかなかいいんじゃないかと思う。

昨日は、野良始め。
注文していた苗木などが届いたので、早速植えつけた。
嬉しいなぁ。
これだけ土地があれば、お庭も畑も思う存分できる。
私は、ノラコヤの土地は、将来的には鎮守の森のような場所になったらいいな、と思っている。
それには、少なくても20年くらいの時間がかかるだろうけど。

昨日植えたのは、フキ、アシタバ、セリ、ノビル、草苺、ビルベリー、マルベリー。
そして今日は、山小屋に行って、避難させていたオリーブの木や柑橘の木をノラコヤに連れてきた。

ノラコヤが、少しずつノラコヤらしくなっていく。