毎日納豆

玄米が売られていた。
しかも、農薬も化学肥料も使わずに育った地元産だという。
このご時世、もはや安いのか高いのかもわからないが、とにかくお米がなくなったので一袋カゴに入れる。
米櫃に、もうお米がないのだ。
新米が出るまでお餅でも食べてしのごうかと思っていたので、助かった。

少し前、人生で何台目かとなる精米機を買った。
初めて買った頃より、だいぶお安く、しかも使いやすくなっている。
自分で精米すれば、その糠を畑の肥料にしたり、糠床に入れたりできる。
海と空も糠を喜んで食べてくれる。
だから、無農薬の安全な玄米は、とてもありがたい存在だ。
玄米に納豆、豆腐のお味噌汁、それに胡瓜の糠漬けでもあれば、完璧な食事になる。
この夏は、毎日のように納豆を食べている。

気圧の関係で山小屋ではおいしくご飯が炊けないので、ノラコヤができてからは、ノラコヤで炊いたご飯を山小屋に持ってきて食べている。
これまで、ご飯は鍋で炊くのを信条として生きてきたけど、ノラコヤはIHで、IHだとなかなか上手に炊けない。
なのでノラコヤでは、炊飯器を使って炊いている。
炊飯器を使えば、白米でも玄米でもおいしく炊けるのでありがたい。
こんな時、つくづく、歳を重ねることは、「まぁ、いいか」が増えることだなぁ、と思う。
こだわりが薄れるというか、許容範囲が増えるというか。

あまりに私の食生活に浸透しているので、もはや特別だとも何とも思っていないものに、納豆チャーハンがある。
そう、チャーハンの具のひとつとして、納豆が入るのだ。
大体、ひとり分にひとパック。
納豆を入れるタイミングは、最後の方。この場合は小粒の方がご飯に馴染みやすい。

私は、まずフライパンで卵を炒め、そこに温かいご飯を入れ、更に具となるハムを入れていく。
納豆はこの後。
ネギも入れ、最後に少しスープを加え(なければ水でも)全体をふっくらとさせ、塩で味を調えて出来上がり。超簡単!

チャーハンには焼豚でしょ、というこだわりもなくなって、最近はもっぱらハムを細かくして入れている。
ハムもない時は、干しエビとか。
漬物や塩昆布を入れたりしてもいい。

納豆チャーハンと並び、納豆汁もよく作る。
納豆汁は、子どもの頃、冬によく飲んでいた。
こんにゃくやイモ柄などを入れて具沢山にするのが王道だけど、私はシンプルな納豆汁が好きだ。
入れるのは、豆腐と、できれば油揚げと、もちろん納豆。
そう、みんな大豆の子ども達。
豆腐とお揚げのお味噌汁に、納豆が加わる感じ。

納豆は、粒のままではなく、包丁でコンコン叩いて自分でひきわりにする。
もちろん、ひきわり納豆を買ってきてそれを入れてもいい。
山形では冬の食べ物だが、私は年中納豆汁を飲む。
歳のせいか、体が豆腐や納豆を欲するのだ。
私は毎日納豆が食べたい。豆腐も食べたい。

明日から、私は仕事で台湾へ。
前回は高雄の市立図書館に呼んでいただいたのだが、今回は高雄へ赴く。
『リボン』の出版記念イベントだ。

今回も、福岡空港経由で台湾を目指す。
外の暑さにも、室内のクーラーの寒さにも慣れていないので、夏場の海外旅行は緊張する。
しかもまた、コロナが流行っているというし。
この夏は、ゆりねとひたすらじーっと森にこもっていたので、久々の大都会だ。
茶藝館で、おいしいお茶が飲めることを祈りつつ。