妖精のハム巻き
私たちが気に入って、毎日その道の駅に行って毎日ストーブの上で焼いて食べていたのは、白麗(ハクレイ)茸という白いキノコ。
食感はエリンギ茸みたいなんだけど、香りが良くて、どんなふうに食べても美味しい。
すっかり白麗茸のファンになってしまったのだが、みんななかなかその名前が覚えられず、途中から、「妖精さん」と呼ぶようになった。
だって、キノコの袋に「白麗茸と妖精たち」というシールが貼ってあるんだもの。
最後の夜は、近くのソーセージ屋さんから買ってきた最高に美味しいソーセージとハムで盛り上がった。
そして、もちろん妖精さんも食べる。
妖精さんはすっかり人気者で、「妖精さん、そろそろ焼けますよ〜」とか、「妖精さんに生ハムのお布団をかけていただきま〜す」とか、はたから見たらかなり危ない感じだったけど、本人たちは至って真面目だった。
とにかく、ものすっごく楽しかったのだ。
4泊5日なんてあっという間で、このままずっとこのメンバーで合宿をしていたい気分になる。
同じ屋根の下で寝泊まりするうち、火のお世話をする人、後片付けをする人、料理を作る人、掃除をする人、音楽をかける人と、それぞれに役割分担ができて、それが綺麗にはまっていく。
時間の過ごし方の感覚も大事で、もしここにひとりでも、ガイドブックと睨めっこしたり、分刻みのスケジュールを立てたり、ショッピングをしたい人がいたら、この心地いい感覚は味わえない。
お互いに気心が知れているからこその、リラックスした山合宿だった。
結局、外食は一回もしなかった。
朝ご飯を炊いて、残りをおにぎりにして外に持って行って食べるパターンで、ただのおにぎりでも、本当に美味しく感じる。
そして、夜はもっぱらストーブ料理の連続だった。
野菜はどれも新鮮で美味しく、しかも安いし、美味しいお豆腐もわかったし、素敵なパン屋さんとハム屋さんとの出会いもあった。
今回の山合宿で、一気に、山小屋での暮らしをイメージできるようになった。
ここでなら、見知らぬ土地でもなんとかやっていけそうだという自信が湧いてきた。
何より、信州の自然が素晴らしくて、こんな大自然のそばに身を置けると思うだけで、幸せが込み上げてくる。
生きる喜びに満ち溢れた4泊5日の山合宿だった。