アグロフォレストリー

朝から雨。雨、雨、雨。
雨だとメェたちのテンションがぐーんと下がり、最低限の用事(干し草を食べる)以外、三角ハウスから出てこない。
室内にいるゆりねもテンションが下がるので、引っ張られるように私もなんだかパッとしない。
海と空が来てから、完全にお天気と行動を共にするようになった。
お天道様との、二人三脚が続いている。

数日前、庭で土いじりをしていたら、近所の女性から通りがかりに声をかけられた。
「ここのお庭がどんなふうになるのか、本当に楽しみなのよ」
そんなふうに見ていてくださる方がいらしたのかと、嬉しくなる。
まだまだ道は遠く、スギナは出放題だし、まるで雑草たちを育てているような状況だ。
なんとなくの方向性が見えるまでも、おそらく3年から5年くらいはかかるだろう。
庭作りとは、なんとやりがいのあることか。

とにかく、焦らず、植物たちの動きにじっと目をこらし、見守りつつ、待つこと。
緑たちの時間に、私が合わせること。
庭仕事を通して、忍耐力が養われるかもしれない。
植物たちとの付き合いは、決してすぐには結果が出ないのだ。

『樹木たちの知られざる生活』を再読していたら、これだ! という言葉に出会った。
それが、「アグロフォレストリー」。
林業と農業を合わせた造語で、木を植えて、その樹間で作物を育てたり家畜を飼ったりすること。
森林農業ともいうらしい。

その言葉と出会った瞬間、私がノラコヤでやりたいのは、アグロフォレストリーなのだと気づいた。
ノラコヤがあるのは、もともとは畑で、最初は古い柿の木と梅の木があるだけの殺風景な土地だった。
そこに去年、まずは果樹を植え、更にこの春、樹木も植えた。
木の足元には、薬草などを植えている。

海と空は雑草を食べ、彼らが出す糞は、畑の堆肥に。
そこで育った作物を私がいただき、野菜くずはまたメェたちの餌になる。
文章で書くほどきれいに循環するわけではないけれど、まぁ理想としては、そんな輪っかができるといいな、と思っている。

今日はお昼、なんだかあったかい麺が食べたい気分だったので、インスタントラーメンを茹でる。
雨の中、サヤエンドウとスナップエンドウを収穫し、麺と一緒に火を通した。
初めて食べる豆乳味のスープは優しい味わいで、そうそう、私は今、こういうのが食べたかったんだよ! と心から納得した。

どんなふうに成長するんだろうと、試しに苗を買って植えたサヤエンドウとスナップエンドウだったけど、予想外にいい感じで大きくなり、味も出来栄えも見事なものだった。
来年はもっとたくさん植えよう。
サヤエンドウもスナップエンドウも大好きなので。
ちなみに、筋の部分は、ささやかだけどメェたちのおやつになる。

昨日、山小屋に行ってきたら、すっかり緑の季節を迎えていた。
今週末、海と空をT家へ送り出したら、また森暮らしが始まる。
これで、4年目の夏だ。