お日様の力で

忙しい。
雪がとけて春になったら、俄然やることが増えた。
一日が、あっという間に終わってしまう。

今日は、山小屋の屋根に太陽光パネルを設置した。
後付けするより、最初からつけておけばよかったと後悔するが、仕方がない。
この先、自然災害や世界情勢次第で、エネルギーが簡単に手に入らない時代が来るかもしれない。
能登での地震を受けて、太陽光パネルで自家発電することにしたのだ。
エネルギーを巡って人々が争ったり、誰かが犠牲になることを、少しでも減らせたらと思う。
全体として見ればほんの小さな一歩に過ぎないけれど、私個人としては大きな一歩だ。

電気の使用量自体をなるべく少なくしたいとは思って暮らしているけれど、やっぱりゼロにするのは難しく、電力なしでは暮らしが成り立たない。
それでも、自分の家の屋根で多少なりとも太陽の力で発電ができるというのは、頼もしい。
太陽光では昼間しか発電できないし、山小屋にはまだ蓄電池がないから、電気はなるべく昼間使うように心がけよう。
基本的にずっと家にいる私にとって、それは特に大変なことではない。
理想を言えば、太陽光で生み出された電気を車に貯めて、それで運転できるようにしたい。
将来的には、それを目指している。

太陽光パネルを設置するにあたり、屋根にかかる木の枝を特殊伐採で切ってもらうことにした。
先週あたりから、その作業をお願いしている。
木を根本から切ってしまうのではなく、必要最小限の枝だけを切り落とす方法だ。
ハシゴを使って木に登り、そこから少しずつ枝を落としていく。
危険を伴うし、集中力もいるので、毎日、数時間ずつしか作業ができない。

そして、その切り落とした枝を薪にするのが、今の私の課題である。
そのために、チェーンソーも買った。
最初はすぐにチェーンが外れてしまって難儀したものの、今日あたりから随分スムーズに作業ができるようになった。
手動のノコギリで切っていた時とは、雲泥の差だ。
やっぱり、電動だと効率が全然違う。
スパッと枝が切れると、本当に気持ちいい。

切り落とした枝も、なるべく無駄にすることなく、最後まで使い切ることが、せめて私にできること。
おそらく、今回伐採する分で、来シーズンの冬はおおむね越せるだろうと見込んでいる。
空っぽだった薪だなに、少しずつ薪が増えていくのが幸せだ。
しっかりと乾燥させれば、どんな木だっていい薪になる。

昨日、用事があって里におりたら、桜が満開だった。
あっちにもこっちにもふわふわの桜の木があって、目移りする。
山の方は、まだまだこれから。
ようやく、去年植えた球根から、芽が出てきたくらい。

春を探しながら森を歩いていると、幸せが込み上げてくる。
去年植えた植物たちとまた会えることほど、嬉しいことはない。
庭仕事も始まって、久しぶりに土の香りを嗅いだら心底ホッとした。
山小屋の庭と森が愛おし過ぎて、頬ずりしたくなる。

春は、再会の季節。
少しでも多くの緑の友だちと、この森でまた会えますように。