雪道を歩く

再び、雪。
今回は、粉雪だったので、サラサラしていてなかなかとけない。
雪原には、人の足跡と獣の足跡が混在している。
朝、玄関扉を開けたら、かわいい小さな足跡が残っていた。
コンクリートの上を通って、ちゃんと階段も使っている。
どなたですか?

雪道を歩くには、スノーブーツにアイゼンを装着するのが安全だ。
ガシッと、ガシッと、と爪が雪や氷に食いこむので、安心して歩くことができる。
雪道を歩く感覚は、やっぱり子どもの頃から体に染みついているのかもしれない。
車の運転も同様で、子どもの頃乗っていた雪道の感覚が、結構今役に立っている気がする。
南国で育ち、一度も雪の上を走る車に乗ったことがない人よりは、感覚的な勘が働いているんじゃないかと思っている。

秋のうちに保存食をたくさん貯めていたので、まぁ、一週間くらい雪に閉ざされたとしても、食糧に困ることはない。
昨夜は、白花豆を炊いてみた。
炊いたといっても、鉄の鍋に入れて薪ストーブの上に置いておいただけだけど。
こうすると、低温でじんわり火を入れることができる。

ただ、ものすごく皮が硬かった。
そら豆の皮と同じくらい、しっかりしている。
無理やり口に入れて念入りに咀嚼し、飲み下せないこともないけれど、お腹を壊すのも嫌なので、ふと思いついて、皮の中だけ食べてみる。
これが、最高に美味しかった。
ゆりねにもお裾分けしたら、好みの味だったらしく、おかわりのジャンプが止まらなくなる。

それで、ちまちまと一つずつ皮を剥いた。
それを、鉄のフライパンに並べ、塩とオリーブオイルをかけ、更にドライハーブものせてグリルする。
豆の、新しい食べ方を発見した。
ワインが進む。

窓の向こうに広がる雪景色が美しくて、つい見惚れてしまう。
雪が降っているのを眺めながら無伴奏チェロをかけると、まるで雪が曲に合わせて降ってくるように見える。
雪景色にはチェロ、炎にはピアノが合う気がする。

昨夜は、八ヶ岳下ろしの風の音が聞こえるらしく、ゆりねのブルブルが止まらなくなった。
私の人生に巻き込んでしまって申し訳なく思いながら、抱っこしたり、体をさすったり。
ゆりねのために、早く春が来てほしい。
ちなみに、ゆりねは雪道を歩くのをすごく嫌がる。
だから毎日、雪のない場所まで下りて行って、お散歩している。
どんな犬でも、喜んで雪原を駆け回るわけではないらしい。
どちらかというと、雪が降ったら、ゆりねはコタツで丸くなりたいタイプだ。