本日のおやつ

昨夜は、海と空が来てから初めて山小屋で寝た。
さすがにメェたちを森へ連れて行くわけにはいかないので、海と空はノラコヤでお留守番。
大丈夫、と二匹を信頼しつつも、どうか予期せぬ天変地異が起きませんよう、祈るような気持ちだった。
地震は、山小屋でかすかに揺れを感じた程度。

心配で、というよりも、早く会いたい気持ちが募り、朝は4時半に目が覚める。
せっせと出かける用意をし、朝7時にはノラコヤに到着。
海も空も、ちゃんと小屋で待っていた。

メェたちに再会できるのも嬉しいけど、私はお庭の植物たちと会えることもまた、この上なく嬉しい。
今、次から次へとチューリップが咲いている。
もう、本当に本当にかわいい。
朝日を浴びる、まだガハハと大口を開けて笑う前のしおらしいチューリップが、私はとにかく好きで好きでたまらない。

昨日はまだ咲いていなかった子が、ふっくらと健気に咲いている。
去年、黙々と大量の球根を植えておいて、本当に良かった!
時間差で、自分自身にこんな楽しみをプレゼントできたのだもの。

花が咲く。
たったそれだけのことなのに、こんなにも人生を豊かにしてくれるとは!

今日は暑くなりそうなので、午前中の涼しいうちに、苗を植えてしまう。
その間、メェたちはハミハミタイム。
最近、ヤギ小屋の柱にリードで繋いで、草を食べさせている。

海は、食が細い。
どうしても、一回り大きいオスの空に餌を食べられてしまう。
でも、最近ちょっと海も肥えてきた。
おいしい草を、たくさん食べてほしい。

もうちょっと向こうに行くといかにもおいしそうな草があるのに、どうもメェたちは、自分たちの小屋から遠くへ行きたがらない。
しかも、そんなんでいいの? と思うような枯葉とかを喜んで食べている。
彼らには、それがご馳走なのだ。
とりわけ、クリスピーなものが大好物。
都会の街路樹の落ち葉なんて、喜んで食べるだろうに。
人にとっては厄介者でしかない雑草も、黙々と食んでいる。

特に海は、お花が大好きだ。
タンポポは、花だけをつまみ食いする。
ちゃんと葉っぱも全部食べてくれたらいいのに、彼らの食べ方は贅沢で、上の方だけをちょちょッとつまんでは、またすぐに他の草に目を移す。

見ていると、彼らはかなり新しもの好きだ。
いつもの牧草でも、私が新しいのを持って行くと、目を輝かせて飛んでくる。

海と空が来たことで、私の食生活も変化した。
大根を見れば、海と空に葉っぱをあげたいと思い、だったら今夜は大根を料理しようと、大根を買う。
山羊がバナナの皮を食べると聞けば、だったら私もバナナを食べよう、と思う。
本末転倒ではあるが、海と空のごはんを中心にして考えるようになった。

そのおかげもあり、生ごみはほぼ出ない。
それが、ものすごく清々しい。
物でも食べ物でも、無駄にすることが本当に嫌なので、そういう意味で、メェたちが来てくれたことで食べ物を無駄にしなくて良くなったことが、最大の恩恵かもしれない。
巡っていることの、なんという心地良さ。

ノラコヤができたことで、植物と動物に思う存分、手を伸ばすことができるようになった。
一日お庭仕事をして、海と空に触れ、ゆりねと散歩して過ごしていると、なんだか穏やかな海の上にぷかぷかと浮かんでいるような気持ちになる。
満ち足りて、オキシトシンで溺れそう。
今日は、まさにそんな一日。

海と空の本日のおやつは、椿の花。
落ちている椿を拾いに行くのも、これまた幸せだったりする。