タケノコファースト
JRの恵比寿駅で、客からの「不快だ」という苦情を受け、ロシア語の案内を貼り紙で隠していたというニュースが新聞に載っていた。
結局、元に戻したそうだけど。
どうして、こういうことになるかなぁ、と、この手のニュースに接するたびに、首をひねる。
不快だと苦情を言う方も言う方だけど、応じる方も応じる方だ。
もちろん、ここ最近のウクライナに対するロシアの蛮行を見ていて、ロシアの人たちへのやり切れない思いというのは、確かにある。
だからと言って、ロシア料理店に嫌がらせをしたり、コンサートの演目からロシアの楽曲を外したり、今回みたいにロシア語の案内を見えなくしたりするというのは、筋が違んじゃない? と思う。
だって、親ガチャじゃないけど、自分で自分の生まれる国は決められないのだし。
一般のロシア人に対して差別をしたところで、それは単なる嫌がらせであって、少しも問題は解決しない。
今、世界中にいるロシア人は、とても肩身の狭い思いをされていることと思う。
ベルリンにも、ロシア人はたくさん住んでいた。
なんてことを書いていたところで、京都からタケノコが届いた。
そんじょそこらのタケノコとは、訳が違う。
これは、京都の西、塚原地区で採れた、ピンのタケノコ。
去年、その味を初めて知った。
なんと、新鮮なタケノコなので、アク抜き用の糠は入れず、ただお湯で湯がくだけで食べられるという。
なんなら、刺身でもいけちゃうくらい、アクの全くないタケノコなのだ。
でも、こういう宝石のようなタケノコに育てるには、草刈りをしたり、土を柔らかくしたりと、農家さんのたゆまむご苦労があってこそ。
白く柔らかい上物のタケノコは、天塩にかけて育てた証なのだ。
急いで、外側の皮を剥いて、家にある一番大きな鍋に並べた。
何はさておき、まずはタケノコの息の根を止めなくてはいけない。
生命力の強いタケノコは、どんどん芽を伸ばそうとするから、なるべく早く、その命に終止符を打つ必要があるのだ。
原稿書きをほっぽり投げて、しばし、タケノコのお世話をした。
タケノコ屋のおじさんに教わった通り、糠は入れず、水だけでコトコト下茹でする。
今、部屋中に、清らかなタケノコの香りが広がっている。
旬の食べ物は、ダラダラと何回も食べず、一回、いいものをちょっと多めに味わって、後は一年後を待つ、というのが、最近の私の食べ方だ。
芹に関しては、なかなかそれが難しいけど、イチゴでも水茄子でも、良いものを一年に一回だけ味わって食べる。
そうすると、よりその食べ物へのありがたみが増す。
今日は、タケノコをしみじみ食べ尽くそう。
今週から、朝の7時25分に目覚ましをかけている。
自分はとっくに起きているので、目を覚ますためではない。
かけないと、ついうっかり見逃してしまうから、BSで朝ドラが始まる5分前に、「もうそろそろ始まりますよ〜」の意味で、音が鳴るように設定したのだ。
今週から、朝の連続ドラマ小説は、『ちむどんどん』。
沖縄が舞台で、料理を、オカズデザインのふたりが担当している。
ものすごく前から準備をしていて、話を聞く限り、面白そうと前から期待していたのだ。
おそらく、私にとっては『あまちゃん』以来の熱狂になるに違いない。
第一週目から、楽しいし、内容が深いし、映像が良いしで、見ごたえ満点。
ただ、朝から美味しそうな料理がたくさん登場するので、お腹が空くのが難点だけど。
見ていると、今すぐ沖縄に行きたくなってしまう。
今日は、タケノコファースト。
どんな料理に仕上げようか、さっきから頭を悩ませている。