卒業検定

昨日は、卒業検定だった。
あまり大きな声では言いたくないけど、2回目である。
1回目は、方向変換でポールにぶつかり、一発アウト。
これまで、一度だってポールに触れたことなどなかったのに。
一時間の補習を受けて、もう一度チャレンジした。

車の免許を取ろうと思ったのは、去年、八ヶ岳に土地を見つけたから。
そんなつもりはなかったのだが、なんだか流れに乗っているうちに、そうなっていた。
そこに、小さな小さな山小屋を建てようと思っている。

歳を重ねるにつれて、水と空気のきれいな場所に身を置きたい、という気持ちが強くなった。
窓の向こうに、美しい景色を見ながら物語を紡ぎたい。
土の上を、歩きたい。
ベルリンから送った家具もある。
ベルリンと、気候的にも、文化的にも近い場所を国内で探した結果、八ヶ岳山麓に行き着いた。
気候的には、ベルリンよりもっと厳しくなるけれど。
わたしは、寒い冬が決して嫌いではない。

そのためには、どうしても車の免許が必要だったのだ。
来年からは、東京と八ヶ岳を行ったり来たりすることになる。
途中まで電車で行くにしても、八ヶ岳周辺では、車がないと何かと不便だ。

土地の条件は、歩いて行ける場所に、素敵なカフェと湖があること。
ベルリンで、すっかり湖が好きになった。

自分が使わない時は、お世話になっている編集者さんたちの保養所みたいな感じで、気軽に開放できたらいい。
ゆくゆくは、同じ敷地に、アーティストが制作に没頭するための、夏だけの簡素なサウナ小屋も建てたい。
でもまずは、母家の方を建てるのが先だ。
今、建築家と相談しながら、計画を進めている。

わたしは自分の人生にすごく満足しているし、もし明日命が終わるとしても悔いはない自信があるけど、人生がいつ終わるかはわからないし、もしかすると、この先、もっともっと長く続くのかもしれない。
そう思った時、まだやったことのないことをやってみたい、と考えたのだ。
そして、そうだ、山に住んだことがないな、だったら山に住んでみよう、とひらめいた。
山に住むとなれば、体力も気力も十分な時じゃないと、難しい。
だったら今だ。
今始めないと、間に合わない。

でもまさか、この歳で教習所に通うことになるとは、思ってもみなかったけど。
人生、本当に何が起こるかわからない。

昨日の卒業検定は、ギリギリだけど、合格しました。
よかったぁ。
まずは、ひと安心。
あとは学科の試験をクリアしなくちゃ、だ。
これがまた、難しい課題ではあるのだが。

自由になるというのは、選択肢が増えることなんだな、と改めて思う。
車の運転ができるようになったら、わたしの移動の選択肢が一つ増えて、自由度が増す。
自由と義務は、背中合わせだ。
その分、安全に運転するという義務も増える。

夕方、久しぶりにゆりねを連れて公園まで散歩したら、川沿いの桜がもう散り始めていた。
葉桜の季節だ。
藤の花も、咲き始めている。
お願いだから、もう少し、春の心地よさを味わわせてほしい。

朝、3月のカレンダーを4月のカレンダーに張り替えた。
もう、4月かぁ。

早くコロナが収まりますように。
ミャンマーに、平穏な時間が戻りますように。