林檎と蜜柑

今は開放期なので、こころを外に向け、なるべくいっぱい外の空気を吸おうと行動している。
(コロナには、十分気をつけつつ。)

「かいほう」には、「開放」も「解放」もあって、いつも、どっちの漢字を当てたらいいのか、少し悩む。
「開放」は、窓や戸を開け放ったり、制限などを設けず、自由に出入りできるようにすること。
「解放」は、束縛を取り除いて、自由な行動ができるようにすること。
と、辞書にはある。
かなり接近しているけれど、でも微妙にちょっとニュアンスが違う。
じっくり考えて、やっぱり「解放」の方がふさわしいと思った。
今、わたしはこころの窓を目一杯あけて、新鮮な風をこころの奥深くまで入れて風に晒している。

先週は、箱根と鎌倉に行ってきた。
ようやく復旧した箱根登山鉄道に乗り、宿を目指す。
すごい、すごい。
山の木々が、ぐわーんと両手をあげて伸びをしているみたいに、新緑が芽ぶいていた。
山が、地球が生きているのを実感する。

宿は、外のお風呂が気持ち良かったので、名物の本そっちのけで、時間の許す限り、湯船で手足を揺らしていた。
朝も、早く目が覚めたので、周辺の梢から聞こえてくる鳥たちの声を聞きながら、湯浴みをする。
自分のこころと体が、外へ向けて開かれていくのを実感した。
気心の知れた女友達との旅は、楽しい。

鎌倉で迎えた二日目の朝は、久しぶりにパラダイスアレーのニコニコパンをいただく。
箱根も鎌倉も、どっちも大好きだなぁ。
すっごくいい気が流れている気がする。

最近の行動を振り返ると、どうも蜜柑に縁がある。
箱根でも、たくさん蜜柑の木を見たし、その前に行った瀬戸内は、まさに蜜柑王国だった。
力強く黄色を放つ柑橘類は、見ているだけで元気になる。
そっか、太平洋側は、蜜柑なんだな、と改めて気づいた。
それに対して、日本海側は、林檎のイメージ。
日照時間とかの関係なのだろうけど、そう、きっぱり別れている。

わたしは日本海側で育ったから、蜜柑のまぶしさは、ハレの印象だ。
反対に、林檎はケの果物。
どっちも好きだけれど、蜜柑に手を伸ばす時、ちょっとよその食べ物に触れるような新鮮さがあるのは、原風景にその眩しさがなかったせいだろう。

箱根に行く前、瀬戸内の柑橘類で蜜柑のゼリーを作った。
一回目はゼラチンの量が多すぎて硬めの仕上がりになり失敗したが、二回目はゼリーの硬さがゆるゆるの理想的なゼリーができた。
蜜柑のゼリーは、大量に柑橘類が手に入った時など、年に一回くらい作る。
甘いのからちょっと酸っぱいのからほろ苦いのまで、いろんな種類の蜜柑が口の中に広がり、口の中にパーっと太陽の光が広がるようだった。

そしてわたしは、明日から石垣島へ。
本当に久しぶりだ。
石垣島は、蜜柑でもなく、林檎でもなく。
あえていうなら、パイナップル?
久しぶりに、ねーさんと、そして妹にも会える。妹のムスメにも会える!

ゆりねは今、サングラスをかける練習をしている。
家のダウンライトが気になるので。
常に天井を見上げる形になるゆりねには、ライトが直撃してしまうから。