土用干し
梅雨明けを待ちわびていたのは、梅干しの続きをしたいからだった。
ようやく今週から、ベランダに梅を広げて、土用干しを始めている。
そんなわけで、わたしは今日も梅干しの番人。
もしも急な夕立でもあろうものなら、素早く中に取り入れなくてはいけない。
風が吹くたびに、ベランダから酸っぱい香りが運ばれてくる。
爽やかな、いい香りだなぁ。
実家にも一本、梅の木があって、夏になると祖母が毎年梅干しを漬けていた。
だから梅干しの香りを吸い込むと、懐かしい気持ちになる。
久しぶりの梅干し作りなので少々不安ではあったものの、今のことろカビも出ず、順調な仕上がりだ。
このまま土用干しが無事に終われば、状態は更に安定する。
何年も、場合によっては何十年も経った梅干しは、更にパワーが増して、最強になると聞いたことがある。
海外に行く時、梅干しを二、三粒スーツケースに入れて持っていけば、何かあった時のお守りにもなるし。
日本人にとっては、本当にありがたい存在だ。
一日に二回ほど、実を優しくもみもみしながら、上下をひっくり返して、まんべんなくお日様の光を当てる。
梅の実は、ふっくらとしてふくよかな子もいれば、ほどよく水分が抜けて、これぞ梅干し! と言える子まで様々で、どの子も本当に愛おしくてたまらない。
今回は、いろんな梅を買ったり、取り寄せたりして漬けたのだけど、それぞれにそれぞれの良さがある。
以前は、大粒の南高梅にこだわっていた。
でも、歳を重ねるにつれ、粒の小さい梅干しの方が、何かと重宝するな、と思うようになったのだ。
大粒のは見た目は立派でいいのだけど、実際に使うとなると、小さい方が気軽に使える。
本当は今年、小粒の梅で漬けたかったのだけど、いざ漬けようとしたら小粒はどこも売り切れになっていた。
なので今年は、一気に5キロとかを漬けるのは大変なので、スーパーで1キロ、近所の無人販売機でまた1キロ、取り寄せで1キロ、という具合に、時間差で漬けたのだった。
まだ味見はしていない。
どんな味に仕上がっているか、怖いような、ちょっと楽しみなような、複雑な心境だ。
梅の実を買った無人販売機の隣では、今、こんな手作りの看板が出ています!