冬支度 2
タイミングが合うと、夕方お風呂に行く途中、猫の散歩とすれ違う。
そう、犬じゃなくて猫なのだ。
猫が、ちゃんとハーネスをつけて飼い主の女性と散歩している。
完全に、自分を犬だと思っているのだろうか。
じろじろ見ると、何かおかしい? って感じでキーッと睨む。
今日も、猫の散歩に遭遇した。
先週、今週と、立て続けに味噌を仕込んでいる。
一年中味噌は仕込んで平気だけど、これから寒くなるこの時期に仕込むのは、確かに理にかなっているのかもしれない。
夏の始め頃に仕込もうとして麹を探したら、なかなか見つからなくて困った。
寒仕込みというくらいで、この時期に仕込めば、麹も手に入りやすい。
大豆を煮る時は、水に浸して戻すのではなく、軽く洗った豆をドボンと熱湯に沈めてしまう。
そして、自然に冷まして時間を置く。
豆もふっくらするし、加熱する時間も短くて済む。
もう何回やったかわからないくらい味噌を仕込んでいるので、分量も頭に入っている。
こんな簡単なのになぁ。
わたしにはもはや、味噌を買うという発想自体がなくなってしまった。
一度、ものすごく悲しい気持ちで味噌を仕込んだことがある。
その味噌からは、見事にカビが生えてびっくりした。
やっぱり、わたしの体から何かマイナスの波動のようなものが出て、それが大豆と麹に伝わったとしか思えない。
だから絶対に、味噌は心が晴れている時に仕込まなくてはいけないのだと、学んだのだった。
空が晴れてカラッとしている日は、絶好の味噌仕込み日和だ。
心も体も、健やかで朗らかな時に、味噌を作るのがいい。
きっと、この秋に仕込んだ味噌は美味しくできるだろう。
そういうのは、味見をしなくても、だいたい直感でわかってしまうものだ。
完成が楽しみ。