再び、資生堂パーラーへ
11時50分に山野楽器の楽譜売り場でララちゃんと待ち合わせ。
コロナでのびのびになっていた高校入学お祝いランチが、ようやくようやく、実現する。
そう、あの小さかったララちゃんが、この春、高校生になった。
久々に会ったララちゃん、髪の毛を青く染め、耳にはピアスを開けて、すっかりすっかり大人になっていた。
遡れば9年前。
小学校入学のお祝いに、ララちゃんとふたりで資生堂パーラーで食事をした。
地下鉄の駅のホームまでお母さんが連れてきてくれて、そこからはわたしとふたりだけ。
きっと、家族以外の人とふたりきりで出かけたのは初めてだったはず。
自分でメニューを見て、わたしが提案したお子様セットは却下し、確かハンバーグを頼んだんじゃなかったかな?
その頃のララちゃんはものすごく食が細かったのだけど、その時は、大人の量のハンバーグを、休み休み、小さな銀のフォークとナイフを上手に使って食べていた。
途中何度も給仕の方が来て、お皿を下げようとするたびに、ララちゃんは、ちゃんと自分で「まだ食べます」と言って、本当に最後まで残さずきれいに平げた。
そして、あれよあれよという間に9年が経ち、ララちゃんは15歳になった。
高校合格のお祝いに何がいい? と尋ねたら、資生堂パーラーでまた食事がしたい、とのこと。
ララちゃんの手紙やメールには、折に触れて、「また資生堂パーラー行きたいです」と書いてあって、本当に資生堂パーラーが、ララちゃんにとっては特別な場所になったようだった。
それが、わたしとしては何よりも嬉しい。
今回は、メニューを広げた瞬間、「ステーキが食べたいです!」とララちゃん。
お肉が大好きらしい。
塩釜で焼いたステーキを、ララちゃんはすごく美味しそうに食べていた。
ララちゃんは、どうしても入りたい高校があって、そこに行きたいと思ったのは、中学1年生の時だったそうだ。
その時から意思を変えず、この春、見事に合格した。
成績優秀なララちゃんにはいろんな選択肢があったのに、どうしても芸術系の高校に進みたくて、その気持ちを貫いた。
幼い頃から、ララちゃんは、絵を描いたり、何かを作ったりするのが好きだった。
そして今は、音楽の勉強をしている。
その高校が、驚くほど自由な気風で、もうララちゃんは毎日が楽しくて楽しくて仕方がないらしい。
ハロウィンの日はみんなが仮装して授業を受けたとか、理科の授業で豚の目玉の解剖をやったのだけどララちゃんは全然平気だったとか、学校にグランドピアノが50台もあるとか、学校生活のことを、本当に声を弾ませて教えてくれた。
ちゃんと自分の気持ちに従って行動し、意思を貫けるってすごいことだ。
学校の様子を聞いていると、まるでドイツの学校みたいで、自分もそういう高校で学びたかったなぁ、と羨ましくなる。
基本、みんなアーティストの卵だから、面白い仲間がたくさんいて、のびのびと好きなことを学んで成長している様子が眩しかった。
わたしは、久々に大好物の大人パフェが食べられて、ご満悦。
しかも、これを食べたいばっかりに、自分のコースについていたデザートをララちゃんに食べてもらって、自分は好きなデザートを選んで食べた。
大人気ないかとも思ったけど、資生堂パーラーといえば、やっぱりわたしにとっては大人パフェなのだ。
この、ちょこっとの量がたまらない。
メニューには、普通に「ミニパフェ」と出ているけど、わたしの中では「大人パフェ」と呼んでいる。
普段の食事も大事だけど、こういう、非日常の特別な思い出というのもまた、大事なんじゃないかなぁ、と思う。
子ども食堂の取り組みも本当に素晴らしいと思うけど、何か、こういう機会がなかなかない子どもたちに、特別なハレの食事の記憶をプレゼントできたらいいなぁ、なんて思っている自分がいる。
食事が終わってどこか行きたいところがあったら連れてってあげるよー、なんて言ったら、逆にララちゃんの方がスマホでテキパキ乗り換えを調べたりして、結局わたしが連れて行ってもらった。
家に帰ってから、ララちゃん母さんとラインをしたのだけど、わたしの撮ったララちゃんの写真を送って欲しい、とのこと。
どうやら、普段ララちゃんが撮る自分の写真とかプリクラは、どれも物凄い加工がしてあって、もうどこの誰かもわからないレベルで別人らしい。
イマドキの子だなぁ、とおかしくなった。
ララちゃん、本当にかわいいね。