「そこにあるもの」

あけまして、おめでとうございます。
今日は、旧暦の元日です。
太陽と月、両方の営みを取り入れた太陰太陽暦では、今日が一年の始まりです。

まずは、新しい糸通信を訪ねてくださり、ありがとうございます。
気持ちをあらたに、デザインをリニューアルしました。
デザインはベルリン在住のデザイナーで友人でもある水島なつこさんが、イラストは以前より本の装丁などでお世話になっている素描家のしゅんしゅんさんが、プロフィール写真は、これまでに多くの旅をご一緒したカメラマンの鳥巣佑有子さんがベルリンで撮ってくださったものです。

年末年始、みなさまはいかがお過ごしでしたか?

わたしは、数年ぶりに日本でお正月を迎えました。
おせちは、なますや黒豆、伊達巻をほんの少し作っただけの簡単なものになりましたが、やっぱり日本で迎える新年は最高だなぁ、と実感しました。
東京の空は連日気持ちのよい青空で、近所のビルの屋上から富士山もばっちり見ることができました。
年の瀬の東京が、一番好きです。

今年は、そこにあるものを大事にしようと思っています。
暮れに一泊二日で山形に行ってきましたが、「つばさ」に乗りながら車窓の風景に目が離せなくなりました。
福島を過ぎ、峠を越えて米沢に向かうあたりからだんだん雪景色に変わるのですが、山ってこんなに美しかったのかと感動し、感嘆のため息ばかりついていました。

わたしが生まれ育ったのは、県庁所在地のある山形市ですが、わたしは今回、初めて、視界にこんなにも高い山がそびえていることに気づいてびっくりしました。
市内のどこからでも、向こうに山が見えるのです。
幼い頃から目にしていたはずなのに、あんなにも立派な山の存在が、心の目には届いていなかった、そのことに驚きました。
白い雪をかぶった山並みは本当にきれい以外の何ものでもなく、この歳になるまでそのことに気づいていなかった自分を、我ながら呆れて笑ってしまいます。

今は文翔館と呼ばれている旧県庁の近くにあった、おそらくわたしが世界でもっとも好きだったカフェが閉店していたことは本当に残念でなりませんが、変わらないもの、絶対なんていうものが存在しないということは、去年、自分の身に起きたことを振り返っても、しみじみと痛感します。

自らの意思で手放したものの大きさを想像し、途方に暮れそうになることもありますが、やっぱり今年も、朗らかに、健やかに、自分の心地よい歩みで、のほほんと生きていきたいなー、と思っています。

わたしは、このまま日本で暮らすことにしました。
ベルリンは本当に好きで、嫌いになるどころか、最後まで何ひとつ大きな不満はなかったのですが、それよりも今は、日本に身を置き、あまりに当たり前すぎて存在すら気づいていなかったそこにあるものを、もう一度見直して、この手で慈しみたいと思います。

2020年が、みなさまにとって、実り多い、笑いの絶えない年となりますように!