「パワースポット」
新型コロナウィルスの影響で、万が一ドイツに入れなくなるとゆりねに会えなくなってしまうので、フライトの予定をくりあげ、先週末、日本を出ました。
もしも入国を拒否なんかされてしまったらどうしようと、不安で不安で仕方がなかったのですが、ベルリンのテーゲル空港でも足止めされることなく、無事、ベルリンの空の下に戻ることができました。
タクシーを降り、アパートのベルを鳴らした数秒後、「おかえり!」というペンギンの声に迎えられ、階段を駆け上がり、四ヶ月ぶりくらいに、ゆりねと再会。しっぽを振って出迎えてくれた姿に、涙が出ました。
ペンギンも、とにかく生きててくれていて、よかった。
大袈裟な表現かもしれませんが、でも本当にそう思いました。命が宿っていて、お互いが生きているということは、本当に素晴らしいことなんだと思います。
その日の夜は、久しぶりに、家族そろって川の字で寝ることができました。
ゆりねは、わたしにとってのパワースポット。そして、ペンギンは空気。
そのことに、痛いくらい、というか、怖いくらい気づいてしまったこの冬でした。
ベルリンも、この冬はいつになく暖冬だったそうです。
そしてもう、春を迎えています。公園に咲いている黄色い花が、まぶしいくらいです。
新型コロナウィルスの影響で、ベルリンも今日から学校など、一斉休校が始まりました。
商店も、お休みしているところがあります。
けれど、圧倒的に日本と違うのは、なんだかみなさん、ウキウキしているというか、元気でパワフルなのです。
子ども達は、楽しそうに公園で走り回っているし、大人たちも、表情が明るい。
今日は平日のはずなのですが、公園には人がたくさん集まっていて、中にはお相撲さんの着ぐるみを着てふざけている若い女の子の姿もありました。
すでに外のテラス席に座って、日光浴をしている人たちもいます。
きっと、春が来たというタイミングもあるのでしょうね。
町には、うんと開放的な空気が流れていて、改めて、ベルリンの人たちのたくましさを実感しました。
コロナウィルスなんか、負けないぞー、という気迫というか。
今朝は、時差のせいで午前三時半に目がさめました。
お茶を飲みながら、ぼんやりと前の公園を見ていたら、四本足の生き物が向こうの方へ移動するのが見えました。
犬でもないし、猫でもない。
おそらく、狐だと思います。こんな町の真ん中に、狐がいるなんて驚きでした。
しばらくすると、始発のトラムが走ってきて、中に何人乗っているのか数えたりしました。
今日は暖かいので、窓を開けてこのてがみを書いています。
冬から、春へ。
ぐんぐんと視界に緑が増えていく、躍動感あふれるこの季節を、なぜか再びベルリンで迎えることができていることに、感謝です。
神さま、どうもありがとう!!!