鹿対策

道の駅まで一っ走りし、ハーブの苗を買いに行ってきた。
調べたところ、鹿は、ミントやラベンダーなど、香りの強い植物が好きではないらしい。
ならば鹿が庭に入らないよう、香りのするハーブを植えようではないか、とひらめいたのである。

というのも、ゆりねがすっかり鹿を警戒するようになってしまった。
2階の窓から、鹿がいないか随時パトロールしている。
この間なんか、3頭の親子連れの鹿を間近に発見し、ものすごい剣幕で吠えたてた。
まるで、別の犬みたいだった。
そんなゆりねの姿、未だかつて見たことがない。

散歩に行っても、鹿がいそうな場所は絶対に歩きたがらない。
鹿の気配がすると、立ち止まって真剣に様子を伺っている。

鹿の方が先に住んでいたわけだし、鹿にも鹿の生きる権利があるというのは重々承知の上で、お互いの平和のため、うまく棲み分けができないものかと模索しているのだ。
できれば鹿とも、ハッピーハッピーの関係を築きたい。

それにしても、庭(森)には、たくさんの生き物がやってくる。
これまでに目撃したのは、タヌキ、キツネ、リス、そして鹿。
思い返せば、野生のタヌキやキツネを見るのは、生まれて初めてかもしれない。
でも、どうしても犬がいない。

と思っていたら、今朝のお散歩で、やっと犬に出会えた。
同胞と挨拶を交わし、ゆりねはようやく長きにわたる犬不足を解消することができた。
めでたし、めでたし。

ニアミスはあったのだ。
ただ、一回は二頭連れだったため、私とゆりねが近づいたら思いっきり吠えられて近づけず、もう一回も、それは一頭だけの小型犬だったけれど、かみつき癖があるらしく飼い主さんが絶対に近づけようとはしなかった。
鹿とは毎日遭遇するが、犬とは会えない日々。
森では、犬よりも鹿の方がずっと数が多いのだ。
それが、森暮らしにおける一番の誤算だった。

誤算は他にもあり、山小屋での生活は想像以上にやることがあって忙しい。
本を読んだりする時間がもっとあってのんびりできるかと思っていたら、とんでもなかった。
これから冬に向けて薪の準備をしたり、太陽の動きに合わせて洗濯物の干す位置を変えたり、植物のお世話をしたり、ゴミを捨てに行ったり、虫を退治したり、目の前の雑事に追われていると、一日があっという間に過ぎていく。
もう8月も目の前で、きっとお盆が過ぎたら、薪ストーブのお世話にならざるを得ない日が来るかもしれない。

来年用の味噌も仕込んでおきたいし、もう気持ち的には来春に向けての準備だ。
せっせとハーブの苗を植えているのも、今すぐなんとかというよりは、来年に向けての下準備。
薪ストーブ用の薪だって、しっかり乾燥させないと燃やせないから、きちんと計画的に軒下に保管しておかないといけない。
着々と冬支度をしないと、あっという間に雪が降って大変なことになってしまう。

山小屋は森に囲まれているけれど、手前の方は人間の手の入った庭、建物より奥は手付かずの森。
そう、分けて考えることにした。
森では余計なことをせず、なるべくそのままの姿を保つ。
一方庭は、少々の遊び心を持って私が少しずつ手を加えてみようと思っている。
だからハーブを植えるのは、庭の方だけ。

ミントは挿し木でもどんどん増えるそうなので、今、根っこを生やすべく、水耕栽培を始めている。

そうしないと、苗がいくらあっても足りなくなるので。
ブッラクミントに、ペパーミントに、アップルミントに、スペアミント。
来年、香りのする庭になることを願って!

今日は、土曜日だ。
気持ち的にちょっとだけ余裕があるので、とうもろこしご飯を炊いてみた。
とうもろこしが、ものすごくおいしい。
とうもろこしだけでなく、野菜全般、ものすごくおいしくてびっくりする。
自画自賛の出来だった。

残り野菜で、山小屋初のスープも作った。
昨夜食べきれずに残した焼きトマトの味が、いいアクセントになっている。
他に入れたのは、新玉ねぎ、大豆、アスパラ菜、それにお庭のリーフセロリを少し。
二度と同じ味にはできない、一期一会のスープになった。