混浴の魔法

朝、珍しく雨が降っていた。
アンペルマンの傘をさして、近所の卵屋さんまで卵を買いに行く。
合計20個。
予約をしておいたら、大きいのを取っておいてくれた。

おでんの残りを食べてから、気合を入れて、久しぶり伊達巻を作る。
一本に、卵5個。
数年ぶりなので、勘が鈍っていないか不安だったけど、なかなかいい感じに焼けた。
卵が新鮮だからかもしれない。
目立った失敗もなく、予定の3本を焼き上げる。
30日のうちに伊達巻までできていれば、明日はお重に詰めるだけだから、かなり順調だ。

それにしても、昨夜のおでんがすごぶるおいしかった。
おでんって、つくづく、出汁を味わうものだと思う。
昨日のお出汁は、利尻昆布、真昆布、煮干し、焼きあご、それに宗田節の5種類のミックスだ。
なんて偉そうに書いちゃったけど、出汁を準備してくれたのはペンギンなので、わたしは何も触っていない。
宗田節は、鰹節の階級でいえば、もっとも下の5番で、雑味があるため、お蕎麦屋さんでよく使われたりする。
お上品さはないけれど、その分、ガツンとした旨味があるのが壮田節。
ちなみに「あご」というのは、飛び魚のこと。
ほんのりと甘い、風味豊かな出汁が取れる。

おでんにも、色々あるけれど、わたしのは一切煮立たせない。
具材を入れて、それをお出汁に時間差で、漬けておくだけ。
大根や茹で卵、こんにゃく、がんもどきなんかは、割と早めに漬けておき、練り物に関しては、直前に入れてもいいくらい。
大事なのは、がんもどきや練り物を出汁に入れる前に、必ず熱湯にくぐらせて油抜きをすること。
この一手間だけで、お出汁に変な油分が入らず、出汁本来の澄んだ味が楽しめる。

大きなお鍋で具をみんな一緒にお風呂に入れるみたいなもので、具材からも色んな出汁が出て、出汁が、更なる進化を遂げるのだ。
出汁が一種類でも、具材が一種類でもこうはならない。
みんなが混浴状態になるから、複雑に味が交差して、魔法をかけたような味わいになる。

うちでは、だいたい一品か二品ずつお椀に入れて、少しずついただく。
お酒が、すすむ、すすむ。
よく考えたら、数年ぶりに食べるおでんだった。
熱々のおでんと日本酒なんて、日本にいるからこそ味わえる。

昨日ももちろん美味しかったけど、一晩お出汁に浸かった後のがんもどきは、格別の味だった。
冷凍庫に長らく眠っていたお餅を焼いて、出汁に浸して食べる。
朝から幸せで鼻が膨らむ。

伊達巻も無事に焼けたし、(教習所の)学科の方も合格点をクリアし、仮免が通った。
めでたしめでたし。
なんだか、いい年越しができそうな気がする。
繰り返しになりますが、よいお年を!