おなべさま
昨夜は、久しぶりに月を見た気がする。
関東もようやく梅雨が明けた。
青空の下に洗濯物が干せる幸せを、今、存分に噛みしめている。
さっき、修理に出していた鍋が戻ってきた。
持ち手のネジが緩んでしまい、ガタガタになっていた。
こういう時、作り手のわかるお店で買うと、作った本人に修理をお願いできるから頼もしい。
数年来、わたしが愛用している銅の片手鍋だ。
大きさは、大、中、小とあり、わたしは勝手におなべ三姉妹と呼んでいる。
しかも、今、わたしの台所には、訳あって、その三姉妹が二組揃っている。
買った時期が違うので、新顔の三姉妹は若々しく、長くいる三姉妹はかなり年季が入っている。
今回、修理をお願いしたのは、古株三姉妹の、真ん中。
大きさもちょうどよく、特によく手にするので、過酷な労働に耐えられなくなったのかもしれない。
おなべを買ったお店に相談したら、すぐに作り手の方に連絡してくださり、あれよあれよという早さで帰ってきた。
戻ってきた箱を開けて、びーっくり!
だって、ほとんど新品と言っていいほどの若返りぶりなのだ。
ガタついていた持ち手がしっかり固定されているのはもちろんのこと、鍋の内側には錫がかけられ、色がくすんでいた外側も、ピッカピカに磨かれている。
職人さんの心意気を感じずにはいられない。
元は確かに、ある程度のお値段がしたけれど、こうしてしっかりアフターケアをしてくれることを思うと、決してお高いとは思わない。
こんなふうにおなべがよみがえるなら、本当に一生使うことができる。
ちなみにこの木の持ち手は、間伐材を再利用したもので、すごく握りやすい。
あー、修理をお願いして、本当に良かった!
なべ、なんて呼び捨てにするのが申し訳ないくらい、すごい存在感を放っている。
だから、おなべさまと呼ばせていただく。
決して洗うのを怠っていたわけではないのだけど、いかに綺麗に磨いてくださったかが、よーくわかる。
最近、わたしはお湯を沸かすのにも、銅のヤカンを使っている。
以前は、鉄瓶を使っていた。
でも、銅の方が、断然、熱伝導が早いことに気づいた。
もちろん、鉄瓶には鉄瓶の良さがあるのだけれど、こと「効率」という目で見ると、わたしは銅のヤカンに一票を投じたい。
とにかく、本当にすぐにお湯が沸くのでありがたい。
ヤカンの方も、いつかピカピカに磨いてもらおう。
ところで、オリンピック、どうするんでしょうね?
日本国内のコロナすら収束どころか、ますます広がっているのに、あと一年後、世界中でこの問題が解決するためには、よっぽど何か劇的なことが起きないと、という気がする。
観客を日本人だけに絞って、という案もあるようだけど、そうでなくても開催国が有利なのに、応援する観客が日本人だけになったら、ますます日本がメダルラッシュになり、わーい、日本人はすごい、最高だ、と内輪だけで大喜びして、果たして本当にそれでやる意味があるのだろうか。
虚しくは、ならないだろうか。
そういう姿を見て、世界の人たちは日本人をどう思うのだろう。
参加できない国だって、出てくるだろうし。
世界中がこういう状況に置かれると、その国の政治レベルや、リーダーの力量が、如実に反映されるされるような気がする。
一年後、果たして日本は、世界は、どうなっているんでしょうね??