ペンギンと暮らす

なくした財布

2018.01.10 Wed

つい、昨日のこと。
昼過ぎ、ゆりねの散歩がてら、近所の雑貨屋さんへ行った。
歩いて十分もかからない所で、今、セールをしている。
ホーローのトレイが50%オフになっているのを知っていたので、それがお目当てだ。
ゆりねの散歩の時は、それ用の肩掛けバッグを持ち歩いている。

いつもはお財布に少しのお金しか入れていないのだけど、昨日は買い物をするので、銀行のカード(そのままクレジットカードと同じように買い物ができる)と、もし重くて地下鉄に乗った時のために、一応一ヶ月の定期券を入れてあった。
めでたく50%オフのトレイを買って、銀行カードでお金を払い、そんなに重たくないからまた歩いて帰ってきたのだが、家に戻って散歩用の肩掛けバッグを外した時、あれ? 妙に軽いことに気づいた。
というのも、お財布には小銭がいっぱい入っていて、ユーロの硬貨はやたらと重いのだ。
絶対におかしい、と思って慌てて探したら、やっぱりお財布が無くなっている。

一番に頭に浮かんだのは、お店だった。
お店に忘れてきたかと思い、すぐに電話したものの、ないという。
大した移動距離ではないし、たった今だし、とりあえず来た道をもう一度辿ってみようと、再度出かける。
けれど、道端にもやっぱりなかった。
もう一度お店に出向いて落ちていないか探させてもらい、どんなお財布かを説明し、もし見つかった時のために連絡先を残してきた。
それから銀行に行って、カードを紛失したことを伝え、新しいカードの再発行をお願いしてきた。

お店でないとすると、考えられるのはスリだった。
私がお散歩用に使っているのはチャックがないタイプで、すぐに手を入れられてしまう。
ペンギンにはいつも、チェーンをつけるよう言われていた。
ただ、バッグは体の脇に密着しているので、その時はわかる。
人混みにまみれたような記憶もなかった。
わからない間にすられたのだとすると相当のプロで、何かに悪用されたら嫌だなぁ、と思っていた。
というのは、パスポートのコピーとか住民票のコピーとかが入っていたから、銀行は暗証番号がないと引き出せないから大丈夫だろうとは思っていたけれど、それでも不安だった。
それに、定期がまだ10日ほど使えたのも、悔しい。
現金は歯ぎしりして眠れなくなるほどの額ではなかったけど、お財布をなくすなんて初めてだし、自分がちゃんとしていなかったせいだと思うと、落ち込んだ。
なんとなくベルリンに慣れて、気が緩んでいたのは確かだ。
住所も名前も電話番号も知れているし、泥棒に入られたら嫌だなぁ、とかそんなことを思っていた。
お金はとっくに諦めているけれど、お財布自体、愛着があって、使いやすかった。
あのお財布がどこかのゴミ箱に捨てられるのを想像すると、しのびなかった。

そして、今日、散歩に行く前に郵便受けをのぞいたら、なんと、お財布が入っていた。
もちろん、と言うべきか、現金は小銭も含めてきれいさっぱり無くなっていたけれど。
銀行のカードもそのままで、というか、むしろ中がきれいに整理されて戻されていた。
嬉しかったのは、定期も戻ってきたこと。
一緒にしていた定期以外の乗車券もそのままで、なくなったのは現金のみだった。
こうなることがわかっていたら、昨日慌てて銀行になど行かないで、一晩様子を見ればよかったかな、と欲張りなことを考えてしまう。

でも、こうなったらいいな、と私はほんの少し期待していた。
だから、郵便受けにお財布が戻っているのを見た時は、飛び上がるほど嬉しかった。
おそらく、店で拾った誰かが、現金だけ抜いて戻してくれたのだと思う。
それか、現金を抜いた後に打ち捨てられていたのを、誰かが拾ってくれたか。
でも、後者の場合だったら、落ちてたよ、とか一言あってもいいはずだから、やっぱり可能性として高いのは拾った本人が戻してくれた説だ。

日本みたいに、落としたお財布が全くお金にも手をつけられずに戻ってくる、というほど甘くはないけれど、なんとなくこの感じがいかにもベルリンっぽいなぁ、と感心した。
しかも、直接郵便受けに入れて帰る、というところが。

そういえば、午前中、二回ほど呼び鈴が鳴って、けれど返事がないままになっていた。
エントランスの鍵を持っていない外部の人がドアを開けてほしい時に、家にいる誰かに頼んで開けてもらうというのはよくあることだから別に気にしていなかったけど、おそらくその人は、私が家にいることを確認した上で、郵便受けに戻してくれたのだろう。
お財布をわざわざ返しにきてくれたのだから、あの中に入っていた何千円かで、美味しいものでも食べてくれたらそれでいいや。
銀行カードを再発行してもらうための手数料はかかってしまったけど、後味の悪い終わり方ではなかったので、良しとしよう。
そして私は早速、お財布をチェーンというか紐でバッグにつなげた。
これは、一方を安全ピンでバッグに留めて、一方をお財布に結ぶというやり方で、おススメです。

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これが戻ってきたお財布。
ペンギン姉からプレゼントしてもらったものだから、戻ってきて本当によかった。
めでたし、めでたし。

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