ペンギンと暮らす

犬おじさん、たまにおばさん

2019.04.09 Tue

日曜日だったので、ゆりねを連れて湖へ。
行く時は、30分くらいSバーンに乗って行くのだが、電車内が混んでいる時は、踏んづけられないよう、たいていゆりねを膝に抱っこする。
まれに愛犬を座席に座らせている人もいて、特にとがめられたりはしないけれど、それはなんとなく気がひけるので、私は抱っこ派だ。
昨日もそうやって電車に乗っていた。
わりと時間があるので、家から持ってきた文庫本を読んでいた。
すると、ゆりねがもぞもぞ口を動かしている。
何かと思ったら、前に座っているおじさんが、ゆりねにおやつをあげていたのだ。
ゆりねも、嬉しそうにパタパタと尻尾を振って、もっとくれとおねだりしている。

でも、困るのだ。
犬おじさんは悪気があってやっているわけではないとわかっているけれど、ゆりねはアレルギーがあるので、食べ物によっては痒みの症状が出てしまう。
普段から食餌に気をつけて、やっとやっと、最近になってカイカイが収まってきた。
もし、犬おじさんがひとこと声をかけてくれたら、「お気持ちは嬉しいのですが、この犬にはアレルギーがあって、」などと説明できるものを、勝手にあげられてしまっては、防ぎようがない。
しかも、ゆりねは大喜びしているから、相手はもっともっとあげたくなる。

その点、子どもの方がよっぽどマナーがしっかりしている。
ドイツ人の子どもは、必ず、まず最初に飼い主に「なでていいですか?」と質問するし、いいよ、と答えると、必ず、自分の手の匂いを犬にかがせて、ちゃんと挨拶してから犬に触れる。
これはもう、本当に見事としか言いようがない。

概して何の断りもなくおやつをあげたりするのは、年配の人に多いようだ。
たまにおばさんもいるけれど、おじさんの方が多いような気がする。
犬おじさんは、ポケットにいつも犬のおやつを忍ばせていて、犬を見つけると、それをあげるのを喜びとしている。
気持ちはわかるし犬が好きだから憎めないのだけど、アレルギー持ちの犬もいたりするから、やっぱり一言断ってほしい。

それに、本当にこれは滅多にないことだろうけど、毒入りのおやつとか、愉快犯とか、絶対にいないとは限らない。
でも、万が一そんなことで命を落とすようなことになったら、悔やんでも悔やみきれないだろう。
きっと、同じような不安は、人間の子を持つ親にも当てはまるのだろうと思う。
たいていの人は良かれと思って親切心でおやつをくれたりするけれど、けれど、万が一、を想像してひやりとすることは、あるんじゃないかな?
大人だって難しいのに、子どもや、まして犬に、相手の良し悪しを見かけだけで判断するのは至難の技だ。

私が日本に帰っている間、ゆりねを預かってくれるシッターさんの家の近所にも、ゆりねのことを待っている犬おじさんがいたという。
毎回おやつをあげようとするので、毎回止めていたら、「だったら何だったら食べるの?」と聞かれて、「りんご」と答えたら、以降はりんごの小さく切ったのをタッパーに入れて、ゆりねを待ってくれていたらしい。
そういう犬おじさんだったら、いいんだけど。

随分前に、私がまだ全然ドイツ語が話せなかった頃、犬おばさんがゆりねにおやつをあげてしまったことがあった。
ただ、ゆりねは添加物がたくさん入っているものは普段食べないせいか、体が受け付けないので、すぐにオェーと吐いていた。
それはそれで何だか申し訳なく、そそくさと犬おばさんの前から離れたっけ。
犬のおやつひとつにしても、なかなか難しいご時世だ。

湖の周りは、すっかり模様替えして春一色に染まっていた。
思い思いに、湖畔でピクニックや読書を楽しんでいる。
中には、すでに水の中に入って遊んでいる若者もいた。
日差しが、とても温かかった。

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帰り道、近所でアイスでも食べて帰ろうかと思ったら、長蛇の列で断念。
そのまま家に戻って、ビールで乾杯した。
アイスとビールのおいしい季節になった。

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これは、花屋さんで見かけたチューリップ。
あんまりきれいだったので、つい。

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