ペンギンと暮らす

異国情緒

2019.09.29 Sun

ベルリンを離れる日が近づくと、ふだん滅多に食べないくせに、ソーセージが食べたくなる。
食べたくなる、というか、食べられなくなるから食べておこう、という気持ちに近い。
街路樹はすっかり色づいて、朝には鳥たちの声が賑やかに聞こえるようになった。
季節は確実に、冬へ向かって進んでいる。

今日は、お昼にお客様がいらした。
初めて通ったドイツ語学校で知り合った日本人のピアニストで、また犬友としても親しくお付き合いさせていただいている。
彼女はもう日本に戻られたのだが、去年に引き続き今年の夏も、ドイツ語学校に通うために長期で滞在されている。
今年の滞在先はハンブルクだったのだけど、最後、ベルリンにも足を伸ばし、うちに遊びに来てくれた。
わたしからすると彼女のドイツ語はパーフェクトでもう何も学ぶことなんてなさそうなのに、そうやって絶えずドイツ語の勉強を続け、切磋琢磨している姿は、人生の先輩として本当に尊敬する。
ということで、二週連続のパンケーキブランチになった。

彼女との話の中で、EUになってからドイツの異国情緒が失われた、というのがとても興味深かった。
すべてが、経済、経済、で、みんながとてもイライラしているように感じるという。
ある一定期間ドイツを離れて、そしてまた来ると、そういう変化がよりくっきりと感じられるのかもしれない。
彼女がドイツに来た頃の三十数年前というのは、お昼になると、働いている人も子どもも家に帰って食事をし、2時間くらい家で過ごしたらまた職場や学校に戻り、そして夜はまた家で食事をする、というのがごくふつうの生活スタイルだった。
でも今、そんな余裕は見られない。
そして当時は日曜日だけでなく、土曜日もお昼からはお店が休みになっていたという。

ドイツもEUに加わったことで、働き手が外国からどんどん押し寄せ、競争が激しくなった。
これから先、ロボットの進出でますます仕事が減ることが予測されるから、自分の席を守れるかどうか、常に戦々恐々としているのだとか。
今でも、たとえばスーパーのレジに座ってバーコードを読み取る係の人は、一時間にどれだけの商品を通せたか、機械によって数値化され、それが競争になっているという。
どおりで、すごいスピードで投げるように商品のバーコードが読み取られていたわけだ。
とても世知辛い社会だなぁ。
ベルリンはアーティストが多くて、のんびりしていて、わたしは村みたいだと常々感じているけれど、彼女には、それとはまた違うドイツの裏の姿が見えている。

芸術に関しても、以前はもっともっと人々が寛容に受け入れていたそうだ。
でも今は、芸術の分野にもやっぱり経済優先主義がはびこり、一部のスターだけが脚光を浴びる時代だという。
とはいえ、今の日本みたいなこと(国からの補助金取りやめとか)はありえないと思うけど。
このまま経済への比重が大きくなると、日曜日でもお店が開くようになって、今日みたいな静かな日曜日も過去のものになってしまうのかもしれない。

一体、この先世界はどうなっていくのだろう。
イギリスのEU離脱だって、もう期限が目前なのに何も建設的な話は進んでいないし、日本を含め世界各国でおかしな政治家が票を得ておかしな発言を平気でするようになった。
環境問題はますます深刻だし。
わたしたちはつくづく、大変な時代に生きているような気がしてしまう。

今日はベルリンマラソンが行われたはずなのだけど、ほぼ一日、雨模様だ。
来週の今頃は、日本にいる。