ペンギンと暮らす

カルセドニー

2019.08.21 Wed

Bayrischzelの村の中心に一軒、小さな石屋さんがあった。
石屋さんとしかいいようがない、本当に石だけを売る店で、通常は店に鍵がかかっており、呼び鈴を鳴らすと奥の部屋からおばあさんが出てくる。
店の外には、ずらりと、数ユーロで買える安い石が、小箱に入ってまるで和菓子のように売られていた。

石にはそれほど思い入れのなかった私だけれど、ふらりとそのコーナーを見ていたら、なんだか石を持ち帰りたいような気持ちになった。
それで、1.5ユーロのクリスタルをふたつ、買うことにした。
ひとつは自分用に、ひとつはお土産用に。

その後、またお店に行って、今度は中の石をじっくり見た。
中に置いてあるのは、比較的お値段のする石だった。
表面がつるつるに加工されている石はどうも苦手なのだけど、原石のままの姿の石は美しいと感じる。
その店に並んでいるのは、ほとんどが原石だった。

ふと、棚の奥に置かれていた、青系の石に手を伸ばす。
魚の卵みたいな小さいプツプツが寄り集まって、山のような形になっている。
手に持ったら、なんだか手放せなくなってしまった。
色が綺麗で、見ていると心にそよ風が吹くような気持ちになる。
この石ともっと長く一緒に居たいと思い、連れて帰ることにした。

帰ってから調べたら、それは「カルセドニー」という石だった。
和名は、「玉髄」。
石英の細かい結晶が集まってできた石で、穏やかなエネルギーを持っているという。
精神を優しく癒し、気持ちを楽天的にしてくれる石で、人との結びつきを象徴するとのこと。
言葉の通りを良くし、コミュニケーションがよりうまくなるよう働きかけてくれるとあり、まさに私にとって大切な石だと納得した。
石のことなんて何も知らなかったけど、必要なものとは出会うべくして出会えるのかもしれない。

部屋に置いたら、なんだかとても自然な感じでその場に馴染んだ。

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この石を見ると、チロルの山を思い出す。
旅の間、食べ物以外で買ったのは、石だけだった。

追伸。
『キラキラ共和国』が文庫になりました!
今回も、しゅんしゅんさんにパラパラ漫画を描いていただいたので、ぜひ、そちらも合わせて楽しんでくださいね。

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