ペンギンと暮らす

一陽来復

2019.02.05 Tue

立春が過ぎて、旧暦のお正月。
朝、二度目となる新年の挨拶をした。
昨日、東京は春の陽気だったようだけど、ベルリンも、今日は見事な青空だった。
いかにもいいことがありそうな、おめでたい冬の空。
旧暦の季節感の方が、しっくり来る。
七草粥も、これから食べるのがいいらしい。

今日は午後、ヨガに行ってきた。
38度に保たれたスタジオでやる、ホットヨガ。
90分間、ちゃんと最後までついていけるか不安だったけど、大丈夫でホッとした。
年が改まって、何か新しいことをしたかったから、ちょうどいい。
今年はヨガに精進しよう。

新しいことといえば、この冬は、カルボナーラがよく食卓にのぼっている。
初めて食べた時は、衝撃的だったなぁ。
思い返せば、実家での食事にパスタというか、イタリア料理が出ることなんて、まずなかった。
それまでも、スパゲッティー自体は食べたことがあったけれど、ほとんど缶詰のミートソースをかけたトマト味のパスタで、カルボナーラどころか、ペペロンチーニも、大人になるまで食べたことがなかったっけ。
オリーブオイル自体、台所には置かれていなかったし。
そう思うと、今の子ども達は随分といろんなものが食べられるようになって恵まれている。

生まれて初めてのカルボナーラは、どこかに遠出した帰り、ひとりでふらりと入ったイタリア料理の店で食べた。
世の中に、こんなにおいしいものがあったんだー、とちょっとしたカルチャーショックを受けた。
カルボナーラはローマの郷土料理と聞いて、ローマでも期待してカルボナーラを注文した。
でも、あれは恐ろしくまずかった。
イタリアだからと言って、どこに入ってもイタリア料理がおいしいわけではないと学んだのは、あの時だ。
まずい、という言葉では全然足りないくらい、おいしくなかった。
今でも、思い出すと腹が立つ。

ボローニャで私が盛大におなかを壊した時、ペンギンが目の前で食べていたカルボナーラも、おいしかった、らしい。
私はほとんど食べられなかったけれど。

そんなわけで、人生の節目節目で、カルボナーラが登場する。
でも、自分で作ってみようとは全く思わなかった。
私にとっては、特別なパスタがカルボナーラだった。

ふと、作ってみよう、と思ったのは、おいしい卵と出会ったから。
近所のハム屋さんで売られている卵が、とびきりおいしい。
ずっと、こっちの卵を生で食べるのは抵抗があって我慢していたのだけど、そこの卵だったら、生で食べても全く問題がない。
だから、去年の秋以来、白いご飯を炊く時は、必ずと言っていいほど、卵かけご飯にしている。
それにお味噌汁があれば、御の字だ。
毎回、バンザイしたいような気分になる。

なので、卵かけご飯がこんなにおいしいのだから、カルボナーラだってきっとおいしいに違いない、と思ったのだ。
だって、カルボナーラは、日本でいう卵かけご飯みたいなものだと聞いたことがある。
それで作り方を調べたら、ずっこけてしまいそうなほどシンプルだった。

まず、オリーブオイルでニンニクを炒め、更にベーコンを炒める。
同時進行で、鍋でパスタを茹でる。
茹で上がったら、ボウルに生卵(ひとり一個)をといておき、そこに熱々のパスタを入れ、更に炒めてあったニンニクとベーコンも加え、よく混ぜる。
あとは、塩とコショウで味をととのえて、出来上がり。
基本的には、たったこれだけなのだ。

大事なのは、卵を、しっかり常温に戻しておくこと。
そうしないと、パスタとの温度差で、卵に熱が加わってしまいダマになる。
特別な材料なんて一切必要なく、ふだん冷蔵庫にあるものだけでできるから、本当に助かるのだ。
まぁ、シンプルなだけに、パスタや卵の味に大きく左右されてしまうけれど。
この冬はペンギンも一緒に越冬中ということもあり、なにかと台所に立って料理をしていることが多い。

卵といえば、ゆで卵のおいしい茹で方も仲良しのぴーちゃんに教えてもらった。
小学生の頃、家庭科の授業で習ったのは、水から茹でる方法だったけど、教えてもらったのは熱湯になってから入れて、7分経ったら取り出すというもの。
これも、卵を常温に戻しておくことが大事。
ほどよい火の入り具合で、生すぎず固すぎず、絶妙な茹で具合に仕上がる。
このやり方を知ってから、ゆで卵の地位が大いに格上げされた。
卵一個で、世界が大きく広がるのを実感する。

一陽来復。
冬が去り、春が来る。
今日はそんな風を実感した一日だった。