ペンギンと暮らす

ウェルカムスノー

2018.12.16 Sun

ソウルでの日韓交流イベント、テーマは「ささやかな共感」だった。
私は、ブックコンサートで角田光代さんと共に本の内容や日々の暮らしに関する質問を受け、後半の音楽のコンサートでは、本の朗読を行った。
しかも本の朗読は、梁邦彦さんの奏でるピアノ伴奏との共演で、かなりドキドキする試みだった。

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読んだのは、『食堂かたつむり』の一節。
後ろのスクリーンに、韓国語の訳をつけてくださった。
結果的には、まぁ、合格点かな。
梁さんにピアノを弾いていただきながら朗読ができるなんて、一生の記念になった。
今回、角田光代さんとご一緒できたのも、とても光栄なことだった。

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一生の記念といえば、韓国にある日本大使館での昼食会も印象的だった。
ソウルの中心部から少し離れた山の上にある大使公邸にお呼ばれし、他の参加者と一緒にお昼をいただく。
長嶺大使ご夫妻が、温かくもてなしてくださった。

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まるで異国の地にいることを忘れてしまいそうな和食の数々に、感動した。
前日の夜にいただいた韓国料理もおいしかったし、イベントの前に出してくださったお弁当もおいしかった。
こんなに近くて魅力的な国なのに、どうしてもっと早く韓国を訪れていなかったのか、悔やまれた。
やっぱり、自分の目で見て感じたり、味わったりするのって、本当に大事だ。
韓国語に訳された『ツバキ文具店』を読んで、実際に鎌倉へ旅行する人も増えているらしく、ささやかでも交流のきっかけになっているようで嬉しい。
ふだんはお会いすることのない、韓国の出版社の方たちとお目にかかれたのも、心から幸せなことだった。

今回は仕事のスケジュールが詰まっていたため、あまり自由時間はなかったけれど、次回はぜひ、プライベートで訪れて、美術館や、韓国の精進料理や、白磁の器を巡る旅を堪能したい。

ソウルを去る日の朝、ホテルのカーテンを開けたら雪景色になっていた。

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雪が、ふわりふわりと、踊るように舞っていた。
雪道を歩きたくてうずうずしたけれど、ホテルに戻ってこられなくなると大変なのでグッと堪えた。
ソウルから成田に飛んで一泊し、成田からヘルシンキを経由してベルリンへ。
ベルリンでも、雪が出迎えてくれる。
続け様に2回のウェルカムスノーだった。
約2ヶ月ぶりにゆりねと添い寝。
やっぱり家族は、こうでなくちゃいけないなー。

ヘルシンキへ向かう飛行機の中で、『万引き家族』と『日日是好日』を見た。
どちらも、日本にいる間に見そびれていたのでラッキーだった。

そして今朝、新聞に出ていた記事に、しんみりする。
南青山に児童相談所を作る計画が、住民の反対により頓挫しているというニュースは知っていたけれど、反対する人の声を読んで言葉をなくした。

「3人の子を南青山の小学校に入れたくて土地を買って家を建てた。物価が高く、学校レベルも高く、習い事をする子も多い。施設の子が来ればつらい気持ちになるのではないか」
「青山のブランドイメージを守って。土地の価格を下げないでほしい」

誰も、好き好んで児童相談所のお世話になるわけではないだろうに。
これが、現実なのかと思うと、途方にくれた。
もちろん、みんながみんな反対しているわけではないだろうし、多くの賛成の声よりも、少ない反対の声の方が大きく響いているのだろうというのも想像できる。
それにしても、だ。
逆の立場だったら、どう感じるのだろう。
親に虐待を受け、更に勇気を持って手を差し出した社会からも冷たくあしらわれたら、その子は一体、どこに救いの手を求めればいいのか。
これもまた、自己責任なのだろうか。
『万引き家族』を見たばかりだったということもあって、なんだかすごく考えさせられた。

昨日は、背丈ほどもあるクリスマスツリーを肩にかついで歩く人を、何度か見かけた。
せめてクリスマスくらい、世界中の人が、特に子どもたちが、心穏やかに過ごせまるといい。