ペンギンと暮らす

お掃除道具

2018.10.07 Sun

DIMへ行ってきた。
ここは、視覚障害がある方たちが手作業で作った製品を扱うお店で、主に置かれているのはブラシ類。
私も普段からここのお掃除道具を愛用している。

日本へのお土産を買いに行ってきたのだ。
何がいいかなぁ、と悩んで、ふと思いついたのがDIMだった。
ドイツは、お掃除道具が充実している。
特に、細い配管をきれいにするためのブラシは秀逸で、先日、日本からいらしたお客様にも、この配管ブラシをプレゼントしたら大変喜ばれいた。
日本だと、私は歯ブラシを代用しているけれど、ドイツのこのブラシの方が、よっぽど痒いところに手が届く。

091B8BBB-C6DD-44D4-9037-326B8F61EDAC

丸いのは、野菜を洗ったり、鍋やフライパンを洗ったり。
あと、大きい歯ブラシみたいなのもすごく使い勝手がよくて、細い金属の繊維が束ねてあり、水道の裏側とか、水周りをお掃除するのに最高だ。
お掃除道具が充実しているので、掃除するのが楽しくなる。
ドイツ人って、本当に道具好きだ。

店内にはカフェもあって、カプチーノとチョコレートケーキで一服しながら、たくさんあるブラシ類に思いを馳せる。
ここは、私の憩いの場。
日本からいらっしゃるお客様には、ぜひ足を運んでください、とおススメしている。
他にも、ノートやアルバムなどの紙製品や、人形、木製のおもちゃなどが並んでいる。
しかも、お値段がとても良心的。

7A83D173-7BF9-438E-99F5-7D2EBB7A4E46

今、『津波の霊たち』(早川書房)を読んでいる。
著者は、リチャード・ロイド・パリーさんで、来日して20年になるイギリス人のジャーナリストだ。
この本が、ものすごくいい。
まだ途中だけれど、早く続きが読みたくて仕方がない。
内容は、74人の児童と10人の教職員が亡くなった石巻市立大川小学校で起きた悲劇がなぜ起きたのか、に焦点を当てて書かれている。

冒頭に登場する「千聖ちゃん」のエピソードから、引き込まれた。
千聖ちゃんは大川小に通っていた当時11歳の女の子で、地震が発生する数週間前、夜中にいきなり目を覚まし、「学校がなくなる」と言って泣きじゃくったという。
千聖ちゃんはもともと、第六感がかなり強い子どもだった。
けれど、それまで泣きじゃくるようなことはなかったという。
お母さんが、どうして学校がなくなるの? と聞くと、大きな地震が来る、と答えたそうだ。
千聖ちゃんも、あの津波で命を落とした74人のうちのひとりだ。

本を読むまで知らなかったのだけれど、あの震災で亡くなった子どものうち、学校にいて亡くなったのは合計で75人だという。
つまり、避難したものの津波に飲まれてしまったひとりの中学生男子を除いて、あとは全員が大川小学校で犠牲になった児童ということになる。
逆に言えば、学校にいる子どもたちは、ほとんどが助かったということ。
地震の多い日本では、学校はとても頑丈に作られているから、地震による被害者は出なかった。
そして、その後適切に避難さえできれば、学校はとても安全な場所だったわけで、大川小学校で起きたことが特異だったと言える。
そのことに、著者は注目した。

千聖ちゃんのお母さんも含め、学校から帰らない娘や息子を、誰もが心配した。
けれど、どこからか、大川小学校に避難した地元住民と子どもたち200人が、孤立し、学校の屋上で救助されるのを待っている、という情報が流れ、一刻も早く会いたい気持ちはあるものの、命を落とすまでの事態になっているとは、想像していなかった。
その気持ちの落胆は、計り知れなかったと思う。
そして、希望から一転、娘や息子たちの遺体を探す日々が始まった。

著者は、本当に丁寧に取材を重ね、執筆している。
外国人の目だからこそ、冷静で、客観的でもあり、そこに真実が浮かび上がる。

大川小学校の悲劇がなぜ起きたのかと並行して、本には、様々な「霊」も登場する。
ある男性は、地震から少し経って、家族とともに被害の現場へ「見学」に行った。
その前に彼はショッピングを楽しみ、被害現場ではアイスクリームを片手に見て回ったそうだ。
そして彼は、霊に取り憑かれる。
そういう話が、他にもある。
あれだけの数の人が一度に苦しみながら亡くなったのだから、そういうことが起こるのは自然なことだろう。

地震のあった日、私用で学校にいなかった大川小の校長は、地震があって何日も経ってから、現場に訪れた。
父兄たちが必死にわが子の遺体を捜索する中、彼がとった行動にも疑問符が浮かぶ。
最後まで読み終えていないので、あの悲惨な「人災」の原因がなんなのか、私にはまだわからないけれど、そこにはきっと、日本特有の「何か」があるのだろうと想像する。
外国人の目で、ここまで丹念にあの地震を振り返ってくれたことにも、敬意を表したい。
多くの外国人にも、あの時何が起きたのかを知ってもらう、いい機会になったと思う。

その前に読んだ、養老孟司さんの『半分生きて、半分死んでいる』も面白かった。
養老さんには、先月、ベルリンでちょこっとお会いしたのだ。
その時も、DIMのブラシをお土産に差し上げたのだった。

あー、秋が深まってきたなー。
今日は日曜日で、これからレーズンサンドを作る予定です。