ペンギンと暮らす

松の内

2018.01.08 Mon

日本に松の内があるように、ドイツにも、似たような風習があるらしく、どうやら、昨日とか今日がそれに当たるらしい。
クリスマスが終わる、という感覚で、それが過ぎると、みなさん、家の中に飾っていたツリーを道路に捨てる。
その捨て方というのが大胆で、道にぶん投げてある。
良識的な捨て方は、街路樹が植えてある土の上に置いておく、というのだけど、中には、アパートの窓からそのまま下に落とす人もいるらしく、かなり荒っぽい。
上から何か落ちてくるんじゃないかと、ヒヤヒヤする。
日本みたいに、一年間お世話になった破魔矢とか正月飾りをお焚き上げする、という方が、私は優しさを感じて好きだなぁ。

荒っぽいといえば、大晦日の花火が凄まじかった。
最初、ゆりねは平気で寝ていたのだけど、夜中の12時になるにつれてどんどんエスカレートし、四方八方から花火が打ち上げられ、その音がまた響くので、だんだん過呼吸のようになって、完全に口を開けて短く息をするようになった。
私もうるさくて眠れないので布団を出て、結局、花火がおさまる午前2時近くまで起きていた。
音だけ聞いていると、外で発砲しているみたいで、戦争の恐怖を垣間見た。
この、ベルリン名物大晦日の花火は、日本人にはことごとく不評で、私ももう金輪際、結構、という気分。
場所によって多少のばらつきはあるものの、どこもおしなべてうるさそうだ。
多分、私が住んでいる地区は、それでもまだ節度がある方で、ひどいところは、通りを挟んだ向かい側のアパートから、こっちのベランダめがけて打ち上げるという。
恐ろしい。
きっと、事故とかも起きていると思う。

今日は日曜日なので、トラムを数駅乗って、公園へ。
真冬の公園もまた、気持ちよかった。
気温は3度だけど、散歩する人やジョギングする人で、結構にぎわっている。
久しぶりに、ゆりねをノーリードで遊ばせた。
電動車椅子のおばあさんが、黒い犬を散歩に連れてきていて、ゆりねが来ている服に興味津々の様子だった。

帰り、トラムを待っていたら、またおばあさんに話しかけられる。
おばあさんはゆっくりと話すので、言葉が聞き取りやすい。
今年の目標その1は、ドイツ人のおばあさんと友達になること。
赤い靴と赤い帽子でコーディネートしたおばあさんは、ゆりねを見ながら、こう言った。
「私も、ヨークシャーとハスキーを飼っていたんだけど、どっちも死んじゃったのよ」
おそらく、だけど、そんなことを話した。
飼っている犬のことを思い出したらしく、懸命に涙を拭っていた。
何か優しい言葉をかけてあげたかったのに、まだ、そんな高度なドイツ語は話せない自分が情けなかった。
がんばれ、私。

そんなに急に陽が長くなるはずはないのだろうけど、冬至を過ぎたら、なんだか暗くなる時間が遅くなったような気がする。
冬の底を超えたような感覚で、精神的な日照時間が長くなった。
これからは日に日に春に近づくのかと思うと、ホッとする。
あと2ヶ月ちょっとで、ベルリンに来てから一年が経つ。
早い、本当にあっという間の一年。
思えば、激動の一年だったな。