ペンギンと暮らす

こんな幸せ

2017.10.06 Fri

日本に着いて、飛行機から出たとたん、素麺が食べたくなった。
冷たい、お素麺。
そういえば、ベルリンで素麺を食べたのは、一度きりだ。しかも、冷たいのではなく、温かくした素麺だった。
やっぱり、素麺って日本の気候にあった食べ物なんだなぁ。
半年ぶりの日本。空気が、柔らかく感じる。

トンボを見て、わぁ、日本だわぁ、と感動した。
ベルリンで、トンボを見た記憶がない。
どこかには、いるのかもしれないけれど。
トンボだけでなく、蝶々とか、蝉も、ほとんど見かけない。
だから、蝉時雨とか、言葉を聞いただけでうっとりする。
秋の夜長の虫の声とか、本当に、日本でしか味わえない。

懐かしくて食べたくなるのは、お寿司とか、そういうものより、もっと、お豆腐屋さんのお揚げとか、町の食堂のメンチカツやコロッケやだったりする。
ただ、今回は、ぶらぶら商店街を歩いたりする時間が、ほとんどなかった。
だから、お揚げにもメンコロにも、再会できなかったのが、残念。

日本の空の下で、ふたつの作品のゲラを読んだ。
一冊は、『キラキラ共和国』、そしてもう一冊は『ミ・ト・ン』。
どちらも、今月の終わりには産声を上げる。
朝、よし! と気合を入れてゲラを読む作業は、至福の時間だった。
私にはいつも、最終のゲラが生き物のように思えて、膝の上に抱いて、毛並みを整えてあげているようなイメージだ。

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栗きんとんも、しみじみおいしい。
こういう、何気ない幸せが、日本にはたくさんある。

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昨日の夜外を歩いていたら、ふわーっと金木犀の香りがして、なんだかものすごく幸せになった。

そうそう、今回戻って驚いたのが、洗濯物。
東京とベルリンで同じTシャツを使っているのだけど、「わー、このTシャツって本来こんなに柔らかかったんだ!」とびっくりした。
ドイツで洗濯すると、水のせいなのか、洗濯機のせいなのか、洗濯物がゴワゴワになる。
一応そう自覚はしていたのだけど、まさかここまで違うとは思っていなかった。
日本の洗濯物が絹ごし豆腐の柔らかさなら、ドイツの洗濯物は島豆腐の硬さだ。

それにしても、なんだか変。
自分の家にいるのに、ゆりねがいない。
わが家にいらしたお客様も、いつも出迎えるゆりねがいないことに、違和感があると話していた。
留守番中のペンギンは、ベルリンはもう寒い寒いと言っている。
ついに暖房を入れたそうで、街路樹も、すっかり黄色くなっているとのこと。
秋、そして冬。
同じ集合住宅に暮らす子ども達が、半年でかなり大きく成長していた。
半年という時間をあけると、相手の変化が如実にわかる、ということも、今回の大きな発見だった。

さてと、私はこれから荷造りをして、明日の飛行機でベルリンに戻り、今月末、再び日本へやって来る。
本の誕生に合わせて、いろいろイベントなども企画中だ。
また、読者の方とお会いできると思うと、ワクワクする。

あー、幸せ。
日本にいて、ほんの小さなことが幸せに思えることが、すごく幸せ。