ペンギンと暮らす

ショコラーデン

2019.03.20 Wed

今日、前の公園の桜が咲いていた。
桜は、どの木よりも早く春を告げる。
二年前はベルリンで桜を見てもなんだか桜を見ている気がしなかったのだけど、今は、ちゃんと桜だなぁと思う。
今年は、満開の桜の木の下でお花見がしたい。
ペンギンが日本に戻って一週間が経った。

近所にすてきなショコラーデン(チョコレート屋さん)があることに気づいたのは、この冬のことだった。
以前からそこにあって、幾度となく前を通りかかっていたのに、いつも素通りしていた。
外からだとあまり中の様子が見えなくて、勝手に違う感じの店を想像していた。
でも、ある冬の日、ふと入ってみようと思って中に入った。
そして、驚いた。
ものすごくすてきな、私好みのチョコレート屋さんだった。

チョコレートはもちろんなのだけど、そのショコラーデンにはいつも数種類のケーキが並んでいる。
そのケーキがまた、とてもおいしい。
いかにもお菓子作りが上手な村のおばあちゃんが日曜日に家族のために作りましたよ、という感じの風情で、とても素朴なのだが、味の基礎がちゃんとしている。
それまでは、別の、もっとかしこまった佇まいのフランス菓子のお店のケーキを贔屓にしていたのだが、こっちを知ってしまったら、もうここのケーキしか食べたくなくなってしまった。
甘すぎないし、軽やかで、明日もまた食べたくなる。
チョコレートケーキも、チーズケーキも、りんごのタルトも、どれもおいしい。
そして、おいしすぎない。(これが、大事。)

難点なのは、いつも並ぶケーキの顔ぶれが違うことで、今日はチョコレートケーキの気分だな、と思って買いに行っても、チョコレートケーキがなかったりする。

中でも、私が密かに幻のみかんケーキと呼ぶケーキがある。
たまたま買ってみたら大当たりで、私はすっかりみかんケーキの虜になった。
クリームは、バタークリームと生クリームの間くらいで、ほのかに酸味もある。
いつも思うけれど、ドイツのバタークリームはとてもおいしい。
私は子供の頃からバタクリームのケーキがとても好きなので、ドイツでは基本がバタークリームだから願ったり叶ったりだ。
そこに、スポンジとみかんが挟まってあり、外側をアーモンドスライスが覆っている。

一度、やった! またあった! と思って買ってきたら、外側はアーモンドスライスで一緒なのだけど、中が違った。

余談だが、ドイツのみかんがこれまたおいしい。
みかんとオレンジの中間的な存在で、わが家では「おれかん」と呼んでいる。
子供の頃、みかんはダンボールで買うもので、冬といえばコタツにみかんが定番だったけど、大人になってこんなにみかんを食べたのはこの冬がダントツでナンバーワンだ。
この冬は、ひまさえあれば「おれかん」ばかり食べていた。
幻のみかんケーキには、それが入っている。

つい先日、ゆりねの散歩の帰りにショコラーデンに立ち寄ったら、ガラスケースにあの子を見つけた。
もう、半分あきらめかけていたのだけど、間違いなく、みかんのケーキだ。
家に帰って紅茶を入れ、にんまりしながらフォークを握った。
やっぱり、おいしい。
ペンギンと半分こできないのは残念だったけど。
ぺろりと一人で平らげた。

一体、このケーキはどんな人が作っているのだろう。
期待通りに、少しふっくらして、花柄のエプロンが似合うおばあちゃんだと嬉しいけど。
近所に、ちょっぴりよそゆきな気分にしてくれるすてきなショコラーデンがあるというのは、とても幸せなことだ。
最近は誰かへの手土産も、もっぱらここのチョコレートにしている。

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今日は、午後のドイツ語プライベートレッスンがお休みになったので、ゆっくり散歩し、帰ってからラー油を作った。

それから、イケムラレイコさんの本を読む。
彼女は、ベルリン在住の現代美術家で、今、東京の国立新美術館で個展を開いている。
私も行きたかった。
『どこにも属さないわたし』(平凡社)は、とてもいい内容で胸を打たれた。
静かに共感できる言葉がいくつもあった。
生い立ちや考え方など、自分と重なる部分もたくさんある。
ベルリンにいたら、いつかお会いできるだろうか。
世の中には、素晴らしい人がたくさんいる。

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今日はこれから餃子を焼いて、ラー油の出来を確かめる予定。
少しずつ、日が長くなっていきている。
もうすぐサマータームに切り替わると、ますます昼の時間を長く感じる。
でも、もしかするとサマータイムが導入されるのも、今年が最後になるかもしれないらしい。

赤ワインを飲もうか飲まないか、今、真剣に頭を悩ませている。

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