ペンギンと暮らす

ファーブルトン

2019.04.16 Tue

ペンギンからのメールで、パリのノートルダム大聖堂が火事になったことを知る。
まさか、と思って調べたら、本当に大聖堂が燃えている映像が出てきて悲しくなった。
あの大聖堂って、本当に美しいのだ。
まるで、巨大な生き物みたいに見える。
パリに行けば必ずと言っていいほど、訪れていた。
すぐ近くに葡萄棚のある広場があって、そこで何時間も読書したのだって、つい数年前のことだ。

私ですらこんなに悲しいのだから、パリっ子の悲しみはどれほどだろう。
なすすべもなく、炎を上げる大聖堂にただただ呆然と見入る人々の姿が印象的だった。
きっと、フランス中の人たちが悲しんでいるに違いない。
テロではないらしいことだけが、救われる思いだ。

もし同じことが日本で起こるとしたら、どんな感じなんだろう、と想像した。
浅草の雷門が燃えるのとも違うしなぁ、鎌倉の大仏さまが燃えるのとも違うしなぁ、と思いを巡らせながら、ふと、富士山の一部が壊れるとか、そういうのに近いんじゃないかと思い至った。
それくらい、ノートルダム大聖堂はフランス人にとって、心の拠り所になっていたんじゃないかと思う。

初めてパリに行ったのは、二十歳くらいの頃。
初めてのヨーロッパが、パリだった。
ツアーの旅で上の姉と参加したのだが、今から思うと、宿泊したのはかなりパリの外れにあるホテルだった。
それでも、初めてのパリ! に浮かれていた私は、目にするものすべてが美しく感じられて、興奮していた。
パリに着いてすぐ、ホテルのそばのスーパーにひとりで入って、ドキドキしながらお菓子を買って部屋で食べたのを覚えている。
その頃のお金はまだ、ユーロにもなっていなかった。

その時に買ったのが、ファーブルトンだ。
その時は、そんな名前であることも知らなかったけれど。
ファーブルトンは、プリンみたいな味の、モチっとした弾力のあるお菓子で、ブルターニュ地方の郷土菓子。
たいていは、中にプルーンが入っている。

冷蔵庫に、ふだん使わない牛乳がまだたくさん余っていて、何か作れないかなぁ、とお菓子の本のページをめくっていたら、ファーブルトンの作り方が出ていた。
しかも、バターも使わず、今、家にある材料だけで作れる。
だから、ファーブルトンを作ることにした。
燃えてしまったノートルダム大聖堂に祈りを捧げながら。

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あまりに観光すぎて、大きな声では言えないのだが、私はセーヌ川下りが好きで、パリに行って時間がある時は、必ずと言っていいほどセーヌ川下りを楽しんでいる。
そうすると、たいていは大聖堂の辺りを通って、その先で向きを変える。
前から、横から、後ろから、といろんな角度から大聖堂を見ることができ、それはそれは圧巻なのだ。
前から見る優雅な姿と、後ろのグロテスクな感じは、全然違う。
周りはパリっ子たちの憩いの場になっていて、大聖堂に吸い寄せられるように、川沿いに人々が集っている。
その光景を船から眺めるのが好きだった。

先日、ベルリンのカイザーウィルヘルム記念教会で行われたレクイエムのコンサートに行ってきた。
この教会は、ドイツの原爆ドームとも言われていて、第2時世界大戦の際の爆撃の跡が、そのままの形で残されている。
初めてその姿を目にした時、本当に衝撃的だった。

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コンサートは、戦後、新しく建設された新教会のホールで行われたのだが、そこは青い色の四角いガラスが壁一面に張り巡らされている。
2万枚以上の青いガラスが使われているそうで、中にいると、不思議な安らぎを感じる空間だった。
音の響きが良くて、コンサートは素晴らしく良かった。

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ノートルダム大聖堂は、もうすでに再建計画が持ち上がっているという。
とても古い歴史のある大聖堂の一部が消失してしまったことは残念でならないけれど、今後、フランス人がそれとどう向き合い、再建していくのか、フランス人のセンスとエスプリの見せ所という気がする。
そして、新たな姿でよみがえるノートルダム大聖堂に再会できる日を、楽しみにしている。

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こちらは、週末に焼いたベーコンとアスパラガスのキッシュ。

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