ペンギンと暮らす

雲が生まれた日

2019.06.25 Tue

最近は日中の気温が高くなるので、朝の早いうちにゆりねの散歩に行っている。
そうすると、毎日のように同じ女性と会うようになった。
彼女も犬を連れている。
大抵は近所の公園で会い、短い言葉を交わす。
その間、犬同士は、原っぱを縦横無尽に駆け回って遊んでいる。
彼女の犬は生後6ヶ月のシュナウザーで、女の子だ。
ゆりねより、ずっと若い。

初めて会った日、ゆりねを触った彼女は、その毛の柔らかさにとても驚いた様子だった。
確かに、シュナウザーなんかは、かなり毛がゴワゴワしている。
うっとりとした表情でゆりねを撫でながら、彼女は言った。
「雲みたい」

そして次の日、また公園で会ったら、
「日本語で、雲のことは何て言うの?」
と聞かれた。
「くも」だと教えたら、その日から彼女は、朝会うたびに、ゆりねを「くも」と呼ぶようになった。
確かに、そう言われると、ゆりねはふわふわの雲みたいに見える。

ゆりねは夏至の日に生まれたので、先日で5歳になった。
今日は雲が生まれた日だと教えてあげよう、と思っていたのだけど、残念ながらその日は彼女に会わなかった。

それにしても、あっという間だったなぁ。
5年と聞くと長い時間のように感じるけれど、ゆりねと過ごした5年間は、全然そんな風に感じない。
うちに来たのは、生後3ヶ月くらいだったから、丸々5年一緒にいるわけではないけれど、それにしたってあっという間だ。
この時間の倍を過ごせばもう十年が経って、更にこれまでの時間を足せば、合計十五年。
その頃、ゆりねはまだ元気でいてくれるのだろうか、などと想像するとしんみりしてしまう。

ゆりねはわたしにとって、太陽の分身みたいな存在だ。
光と温かさを与えてくれる。
ゆりねがわたしのところに来てくれて、本当に良かった!

先週、ペンギンがベルリンに合流したので、また「群れ」での暮らしが始まった。
今年は、どんな夏になるのだろう。

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